自転車でめぐる近江八景(1)湖族の郷「堅田の落雁」(お菓子編)

堅田は落雁発祥の地?

近江八景の一つ「堅田落雁」。
歌川広重の浮世絵では、浮御堂の上空から湖面に雁が舞い降りてくる様子が情緒豊かに描かれており、昔より堅田の風光明媚な景色に人々が心を打たれたことがうかがい知れます。

前回はそんな堅田を<史跡編>として紹介いたしました。

自転車でめぐる近江八景(1)湖族の郷「堅田の落雁」(史跡編)

ところでこの「落雁」ってどこかで聞いたことはないですか?
言葉通りだと絵のように雁が落ちていく様を表していますが、その名がついた食品、
そう、お茶菓子としてよく出されるあの干菓子のことを「らくがん」とか呼ぶでしょ。


こんなのです。

実はこの「落雁」、堅田の落雁がその名の由来になっているというのです。

江戸中期の国学者 山岡俊明の『類聚名物考』の中に「今らくかんと云う菓子あり。もと近江八景の平沙の落雁より出し名なり。白き砕米に黒胡麻を村々とかけ入れたり。そのさま雁ににたれば也」とあります。

まっ、由来に関しては他にも中国の菓子である「軟落甘(なんらくかん)」が変化したものだとか諸説あるのですが、私が勝手に推測するに、もともと「らくかん」とかいう一般的な名で呼ばれていた菓子に、景勝地の堅田の落雁にあやかって「落雁」という字を当てた商品名にしたのではないですかね。で、それが有名になってしまったパターンかと・・・。
例えば天婦羅とか金平糖なんかのように舶来の食べ物名では当て字がよくあることですし・・・「母恵夢」と書いてポエムとか。(これは違う??)

いずれにしても「落雁」という名の干菓子はこの堅田で生まれたのは間違いないでしょう。

 

堅田はハイレベルな和菓子屋さんの町

そんな落雁発祥の地ということもあって、堅田には老舗の和菓子屋さんが多くあります。
堅田に二店舗を構えるいちご大福で有名な「嶋屋」さんや、創業90年という長い歴史の「鶴屋博道」さんは一休和尚にちなんで作らた一口サイズのお餅「一休餅」が名物。

 

 

で、今回訪れたのは堅田衆の大ボス邸宅跡「居初亭」にほど近い場所にある『金時堂』さん。
大正12年から続く堅田の老舗です。

昔ながらの和菓子屋さんという雰囲気のお店。

到着した時にはちょうどお仕事の真っ最中。お店の中でご主人や奥様が忙しそうにされていました。
この日は堅田サイクリングとして、朝っぱらから大勢で押し寄せたため少々ビックリされていたようですが、ご主人が手を止めて出てきてくださいました。

私達が堅田をサイクリング観光していると伝えると、ガイド顔負けなくらい堅田の様々な情報を話してくださいました。
そして落雁発祥の地の話も・・・。

 

そして話の流れで、店の奥から何やら持ってきてくださいます。


なんと店で使っている落雁の木型を見せていただき、実際に持たせていただきましたよ。

 

店の中には他にも木型がいっぱいです。

 

そしてこれが金時堂さんの落雁。(写真が汚くてすみません・・・)

浮御堂が描かれた金時堂さんの落雁は高価な香川県産の高級和三盆が材料として使われています。材料を型に入れてすぐは固まらないが、
一晩置くとしっかりと歯ごたえのある堅さになるとご主人。

 


その和三盆まで見せてくださいました。なんと5キロで1万円くらいするらしい!
落雁は砂糖そのものを固めて作るだけに、やはりいいものを使っているのですね。
そんな金時堂さんの落雁を一口いただきましたが、優しい甘さがふわーっと口の中に上品に広がります。
渋いお茶も欲しくなるなあ、と思っていたらお茶まで出してくださいました。(めちゃっくちゃサービス精神にあふれているご主人!ありがとうございます。)

 

でも私がこの日最も感動したのは、ご主人が私たちのお相手をしていただいている間に奥様達が作っていた「パイン大福」

 


1つ1つお餅の中に大きなパイナップルを手早くかつ、丁寧に入れて出来上がっていきます。
そんな出来立てのパイン大福をいただきました!

 


出来立てですが、ちゃんと包装してくださいました。


一口食べると中からとってもジューシーなパイナップルが現れ・・・。
絶妙な甘みと酸味に病みつきになりそう!
フルーツ大福っていろいろありますが、何だかんだでいちご大福が一番美味しいってなるのですが、パイナップルがこんなに大福に合うとは思いませんでした。これは衝撃!

 

堅田の和菓子屋、さすが落雁発祥の地だけあってハイレベルだと思い知らされました。
なんといっても金時堂のご主人のお話も面白かったですしね。

そんな金時堂さんも現在息子さんが4代目としてお店に入り、ご主人含め親子3代で頑張っておられます。
近江八景の歴史を伝える落雁の味、守ることは決して簡単ではないかもしれませんが、
続いていってほしいものです。

現在、金時堂さんは新しいことにも熱心に取り組んでおられます。

地元の成安造形大学の学生と組んで作った「一休さんせんべい」。学生さんがデザインした一休さんのキャラクターがかわいくプリントされています。(一休さんは堅田の祥瑞時で一休の道号を得たエピソードがあります。堅田は一休和尚誕生の地でもあるのです。)

伝統の維持と新しいことへのチャレンジ、堅田のお菓子は進化していますよ!

金時堂さんの地図

【御菓子司 金時堂】
・場所:大津市本堅田2-11-31
・時間:9:00~19:00
・定休日:火曜日、日曜日の午後
・TEL:077-572-0061

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