クローサ
台風10号(名称:クローサ)…
お盆の行楽で賑わう日本列島を直撃している超大型の台風だ。現在進行形にしている理由、実はFunazushi-maru、これを書いている時点で、これから台風の目に入ろうとしている宇和島市のホテルにいる。
こんな状況である。ちょうど今、台風の目の中にあるのか晴れ間も出てきた。今回の自転車四国一周、良くも悪くもこの台風の存在抜きでは語れない旅となった…。
人生最長距離の自転車旅、「シコイチ」スタート!
四国一周サイクリング、通称「シコイチ 」、と現地で聞いたのでシコイチと当ブログでも呼ばせて頂く)。主催している愛媛県自転車新文化推進協会の推奨ルートの距離では、
なんと1000km。
推奨ルートでは一周に11日間を想定している。おそらく普通の会社勤めの人間がチャレンジできる最長距離の一周コースではないだろうか?
今年のお盆休み、2日の有休を取れば9連休となる。ちょっと1日辺りの距離は長くなりそうだが、これってシコイチできるんじゃね?そう思った瞬間、すでに私の気持ちは四国へ飛んでいた。一度しかない人生、躊躇していたらチャンスは通りすぎていく。
そして有休申請と同日、四国一周サイクリングのホームページへチャレンジ申請していたのだった。
8月10日、嫁の実家が香川県なので、まずは家族全員で四国入り。
翌11日、高松港まで嫁に車で送り届けてもらい、いよいよシコイチのスタート。
シートバッグやらトップチューブバッグなどフル装備でのサイクリングは初めて。やはりちょっと重たいか…(最近飲み会続きで体も重たいのだが…この重量に我がアレー号が無事耐えきれるのかというのも心配…アメリカンメーカーのスペシャライズドだからその辺は大丈夫か?)
台風が来ているということもあって、泊まるとこもろくに決めずに出発している。台風の進み具合を見て柔軟に対応するためである。なので野宿なんかも想定の上。と言っても大した物は入ってない。着替えと輪行バッグ、固形燃料用のミニコンロや鍋類、それと野宿の時に使えないかと持ってきた大きめの布程度である。
こういった超ロングライドの場合、できるだけリュックに荷物を背負わない方が良い。背中に背負うと、そのぶん腕やお尻に荷重がかかり痛くなるのだ。リュックは背負うが、身につけておきたい貴重品を入れるに留めている。
正直、このお盆にシコイチに行くと宣言したが、友人たちは半信半疑だったろう。もちろん台風が来てると言う事が理由だが、日中35℃を越えることのある真夏日の中、炎天下を走るのは自殺行為のようなもんだからである。
しかし、サラリーマンである私、そうそう一度に一周できる機会なんて無い。どうしてもやりたきゃ会社を辞めるか、退職覚悟で長期休暇を願い出るかくらいである。数回に分けてのチャレンジでも一応シコイチの記録としては認められるが、それは自分の気持ちが許さない。台風の動きを十分確認し、おおよそ日程やコースを決め、なんとかなりそうと思ったので高松港にいるのだ。Softbankの孫さんも言っている。「7割の成功確率があれば実行すべし」と。
8月11日の朝6時、まだこの時点では涼風が海から注がれる。良くも悪くも天気は絶好。
今日はこのあと阿波おどりの前日準備の真っ最中であろう徳島市街を通過し、宍喰の道の駅を目指す175kmの予定。事前情報では、宍喰の道の駅には温泉施設もあるらしい。
ちなみにこのシコイチ、認定を受けるには2種類の方法がある。
ひとつは申請すると送られてくる「公式チャレンジパス」と言うスタンプラリー台紙を使ったもの。それぞれの県で最低2個~3個、指定された道の駅に置いてあるスタンプを押して巡ることで一周の認定を受けられる。
もうひとつはデジタル認定と言って、ガーミンやストラバなどのGPSデータによる記録を使う場合だ。
ただせっかく届いた公式チャレンジパスなので、道の駅をマイルストーンとして利用したいと思う。野宿するにしても、たぶん道の駅がいいんじゃないかとこの時点では思っていたからだ。
まずはひとつ目の道の駅「源平の里 むれ」を目指す。と言っても10km程度である。
ちなみに四国の多くの道の駅は営業時間を9時~17時としているところが多い。なので、この時間帯は営業していない。そうすると建物内にスタンプが設置してある場合、押すことができないのだ。
一応ストラバの記録をメインとして、スタンプは道の駅が開いてれば押す位で考えておく。で、念のためすべての道の駅の写真も押さえておく、と言う作戦だ。
案の定、最初の道の駅ではスタンプ台は建物の中だった。
次の道の駅「津田の松原」でもまだ9時前。しかし、すでに強烈な日差しが照りつけてくる。
松原には一人の地元ローディーらしき方が大汗をかいて休んでいた。松原の景色をカメラに納めようと自転車を降りたとたん、私もサウナに入ったが如く汗が吹き出てきた。つまり自転車は走っているぶんには風を受けて暑さがマシになる(たぶんそう感じるだけ?)ということなのだ。でも実際は身体に受ける直射日光の強さは、走っていても止まっていても変わらないので気を付けないといけない。とにかく水やスポーツドリンクを欠かささないのが大事。喉が乾いたと思う前に飲む。それと、頻繁に首もとに水をかけ続けた。そのため、この先も500mlのペットボトルを、毎日10本は購入したんじゃないだろうか。
以前、夏場のサイクリングで水と麦茶はしっかり補給していたのだが、塩分を採らなかったばかりに脚がつって動けなくなったことがあり、それ以来、塩分の補給も意識的に行っている。筋肉の痙攣、それ事態が熱中症の症状でもあるのだ。台風よりも、まずは暑さという敵を克服しないことには、このシコイチは完走出来ない。
結局、この日は香川県でスタンプを押すことなく徳島を目指すことに。
途中、引田という場所で古い町並みがあるという看板が。ルートから大して外れないので寄ってみることにした。どうしてもそういった場所には惹かれてしまうのだ。
東かがわ市の引田という地区は「日本一の手袋の産地」らしい。国道からそれて海側へ進むといくつかの手袋工場が目に入った。
小海川の赤い欄干の橋を渡った先に、突如として真っ赤な壁の建物がある区域が現れた。
かめびし屋という醤油の蔵だ。一角には醤油のいい香りが漂っている。こちらではうどんも食べられるそうだが、まだ開店前だった。
阿波踊り開催直前の徳島へ…
徳島県に入った。ここまでは細かいアップダウンはあるものの概ね平坦である。
この先、推奨ルートは大鳴門橋の袂にある島田島や大毛島といった絶景スポットを通る「鳴門スカイライン」へ入っていく。が、ここが最初のヒルクライムポイントなのだ。
鳴門スカイラインを登っていくと、小鳴門新橋が現れた。島田島との間の小鳴門海峡に架けられた橋である。かなりの高さがあり下を覗き見ると、眼下の海が川のように流れているのがわかる。高所恐怖症でなくても脚がすくむ…。なかなか、このコースを作った人は四国を知り尽くしたサイクリストなのだろう。絶景の中に、ちょっとしたサイクリスト独特の意地悪さも感じるヒルクライムルートだった。
お昼前には徳島市内に到着。ここではランチに徳島ラーメンを食べたい。それと昨年は色々と物議を醸した阿波おどりの会場も、見ておきたいと考えていた。
徳島市内をゆっくりポタリングしながら、阿波おどり会場の雰囲気を見て回る。
目下、急ピッチで関係者の方々が設営などの真っ最中。炎天下の中大変である。あまりに暑いせいか、そういった準備作業の人はいるが思ったほど観光客は少なく疎らだ。ただ徳島中央公園の回りには、やたらたくさんの人が歩道に座り込んで場所を押さえている様子。日陰もない場所で、このくそ暑い中よくそんな行為ができるものだ。人のことは言えないけど…。
一通り見て回って、目についた中華料理店に入ることにした。徳島中華そば銀座一福というお店。地元に密着した感じの雰囲気が良い。アーケード街の中だったので、待ち時間の間、日陰で涼める。と、何か鼻に違和感を感じる。トロッと何か流れたような気がして、鼻を触ると赤い液体…あまりの暑さにのぼせたのだろう。こりゃまずい。持ったいたタオルで鼻を押さえつつ、できるだけ風の吹く涼しい所でラーメンを待った。
なんとか鼻血も止まり、店内に通してもらった。メニューには基本の中華そばと「月見そば」とある。この月見そばの肉入りが、我々が知っている徳島ラーメンなのだと知った。
初の野宿
さて、お昼も過ぎるとますます日差しが強烈に! 先程の鼻血のこともあり、無理をしないでおこうと16時まで避難することに。休憩ついでにスマホやモバイルバッテリーの充電ができる都合の良い場所がマクドナルドである。ここでしばし充電しながら、コーヒー飲んで一休み。スマホだけでなく私自身も充電。
休憩の間、Facebookを通じて色々情報を頂いていた。どうやら日和佐から宍喰までの間に、南阿波サンラインというキツいルートを通ることになるらしい。全くルートの状況など調べずに適当にスタートしているだけに、ちょっと焦ることになった。そこで、ネット上のブログなどを読んで調べてみると、どうも街灯もないような場所らしい…。こりゃまずい、このままでは間違いなく、真っ暗な山道を走ることになる。と言うことで急いで出発。
途中、日和佐へと向かう山道で、自転車を押し歩くサイクリスト発見。声を掛けると、今晩は日和佐で宿泊するとのこと。私もまずは日和佐にたどり着かないと…。
徳島で休憩したこともあり、「道の駅 日和佐」につく頃には、完全に日没後となってしまった。
もちろん道の駅は営業終了している。しかし、何故かやたら駐車場にはたくさんの車が。どうやら車中泊する人達なのか、車の前でちょっとしたBBQをしたりしている人もいる。
向かいにはコンビニ。しかも、大きな屋根の東屋もある。特記すべきはテーブルと4人掛け程度のベンチが設置された、割りと新しい感じの「多目的休憩施設」なるものが!
もうここに決定!野宿経験があるわけではないが、それでもこんなに条件の整ったところはないとわかるくらいである。
ちょうど近くでお祭りをやっているのか少し賑やかではあるけれど、まぁ人けが無さすぎるのも不安だし、そのくらいの場所の方がいい。なんと言っても、この施設は5区画あるのだが、それぞれ独立して照明がつけられるようになっている。もうこれは野宿というか、簡易なキャンプのために作られたような施設だ。本来はそういった使い方のものではないのだろうけど、今晩は拝借させてもらうこととした。さすがお遍路さんの文化がある四国である。
と言うことで、コンビニで夕飯を購入し、一人で宴会開始。真夏であるにも関わらず、虫が少ないのもありがたい。
こうして、なんとかシコイチ1日目の夜を迎える事ができた。
ただ、いきなりのノルマクリアならず…である。果たして明日から大丈夫なのだろうか…後になればなるほど条件は悪くなるのだが。
(つづく)
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