シコイチ(四国一周サイクリング)チャレンジ:最終日

わっかの先にあるのは島

しまなみの朝日

前日、ゲストハウスのガレージに自転車を入れるときに、親子で利用している方が早朝からしまなみ海道の朝日を見にに行かれると聞いた。そう言えばここはしまなみの玄関口、多少寄り道しても行程に影響を与えることはないだろう。ましてや今日は最終日、最悪は高松から神戸へ向かうフェリーは夜中の1時出航だ。少々到着が遅くなったからと言って心配することはない。

ドミトリーとなっている部屋には2階建てベッドがいくつか並んでいるが、他の客のカーテンは全て閉められている。できるだけ音を立てないように、そーっと準備して出ていく。

ガレージに行くと、すでに親子の自転車はないようだ。

 

外はすでに薄明るくなっていた。しまなみ海道の入り口となる「来島海峡大橋」の自転車道口まで約6.5㎞ほどだ。朝練のつもりで少しスピードを上げて自転車を漕ぎだした。

来島海峡大橋からの朝日

来島海峡大橋の自転車道を登り始めた頃には、朝日が顔を出し始めた。仕方ない、ここから朝日のショットを狙おう、と自転車道の登り坂の途中に止まって朝日にカメラを向ける。大島の向こう側からオレンジ色の光が徐々に広がり、薄いブルーの空にピンクやパープルといった様々な色が流れ込んでいく。澄んだ空気の中で見る朝日は、どこで見ても美しい…。

 

プチしまなみサイクリングでも満足度十分!

来島海峡大橋を大島手前まで走る「プチしまなみサイクリング」。実はしまなみ海道へ自転車で来たことはなかったFunazushi-maru。日本一人気のあるコースは、ほんの少し走っただけでも十分その素晴らしさが感じられるものだった。この先は次回しまなみに来るときに取っておきたい。

 

絶体絶命…

さて、シコイチコースに戻る。今治からは国道196号をしばし進み、まずは本日1つめの道の駅「今治湯の浦温泉」へ。

みきゃんと…

愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」のパネル前でカメラの置き方を迷ってたら、近くに座ってた人が写真を撮ってくれた。人の好意にはしっかりとあやかるFunazushi-maru、ここから生まれる交流もあったりするものだ。

このあとは国道を離れ山側へ入る。ふと、後ろに一台ローディーが付いてきているようだ。競うつもりはないが、あっさり抜かされるのもシャクだ。登りではあるが少し頑張ってペダルを踏んでみる。後ろは振り返らないまでも気配は感じる。が、迫ってくる感じもしない。似たような脚力か…

坂を上がりきると斜度はありつつも、短いピッチのアップダウンが真っ直ぐ続く道へと入った。こういう道は得意なほうだ。下りで勢いをつけ、登りはダンシングでガシガシと踏む。

気がつけば、完全に後ろの気配は無くなっていた。後ろを振り返り、遠くまで見渡すもののローディーの姿はなかった。ちょっと頑張りすぎたか?

というか、そもそも後ろにいたのか? 勝手に意識して要らんエネルギーを消費してしまったようだ…

 

山裾の小高い場所を通る農道をノンビリ進む。久々にガッツリ踏んで走ったので余計な体力を使ってしまったようだ。何をやっているのか…。

少々退屈気味にちんたら走ってると、左側に曲がり道のあるT字路を真っ直ぐ進みかけたとき、突然後ろから軽自動車が私の行手に覆い被さるように現れ、左側へけたたましくタイヤを鳴らしながら割り込んできた!

車のサイドのドアが、あと数10cmまで迫る!

 

「あっ、アカン、死ぬ!」

 

ブレーキをかけても間に合いそうにない。瞬間的に様々な思いが駆け巡った。そう、まさに走馬灯体験か。

オワッタ…

 

 

幸い、間一髪軽自動車は私の前をすり抜けた。なんと軽自動車はその後もスピードを緩めることなく走り去って行ったのだった。無事だった私は、怒りをぶつける相手を失い、起こった事がすぐには整理できず、しばらく呆然と立ち尽くしていた…

轢かれていれば、ヤツは間違いなくそのまま逃げてただろう。こうなると自転車用にもドラレコが欲しい。せっかく四国に来て優しい人々の思い出ばかりだったのに、いっぺんに悲しい気分にさせられた…。

とりあえず、旅はまだ続けられそうである…。前へ進もう…。

 

ゴールの地、香川へ

伊予西条を越え、新居浜を抜けると山をひとつ登ることに。

沈んだ気持ちを景色が癒してくれる

 

海と山並みと平野が織り成す美しい景色

坂の頂上付近からは、眼下に四国中央市が広がる。

四国中央市と言う自治体名だが、愛媛県のなかでは最も端っこ、香川県と隣接している。ただ名前の通り、四国全体では中央に位置している。特筆すべきは四国のあらゆる自動車専用道路が四国中央市で結節しており、交通の要衝となっているのだ。それもあって工業が盛んで、特に製紙会社が多く集まっている。ウィキペディアによると、将来道州制になれば、この地の利を生かして州都になるだろうとの思惑から、四国中央市と名付けたらしい。実は大きな野望を持った地域だった…。

 

大王製紙三島工場

 

うずたかく積まれた、チップの山。これが紙になる

伊予三島に入ると、その大きな工業地帯の中を進む。道の両側に製紙会社の施設が続いている。印刷会社に勤めるFunazushi-maruとしては、なかなか感慨深い景色である。

 

ついに香川入り!

そうこうしてるうちに、香川県に入った。この先は嫁の実家エリアなので、帰省中に車ではうろちょろしているから、馴染みのある景色だ。

香川県二つ目の道の駅「ことひき」は、琴弾公園にある。琴弾公園と言えば「銭型砂絵」が有名だ。せっかくなので寄ってみることにした。が、銭型を見るには、展望台まで登らないといけない。なんと、これがかなりの激坂!

ここよりキツイ坂はシコイチコースにはない、と言われる坂に、情けなくもあっさりと足をついて歩いてしまった…

琴弾公園の銭型

それでも、これを見れば一生お金に困らないと言われる砂絵を見て満足。久々に見たが、まさかここに自転車来るなんて考えた事がなかった。

 

海岸沿いを進むと、最近妙に人気が出ている「父母ヶ浜」(ちちぶがはま)が見える。ここはかなりの遠浅の海が広がっており、潮が引くと大きな潮だまりがいくつもできるのだ。夕方になると潮だまりが鏡のように夕日を映し出す絶景スポットとなっている。嫁の実家からも近く、昔は子供たちを海水浴や潮干狩りに連れて行ったものであるが、その頃は付近には何もなく、人もそんなに訪れるような場所ではなかった。ところが、最近は❝日本のウユニ塩湖❞と呼ばているらしく、お洒落なカフェなどもいくつかできるなど、大勢の人が訪れる人気スポットになってしまった。

 

父母ヶ浜で息子たちを撮った写真。これは昼間だけど。

 

つい数日前も、嫁からラインで父母ヶ浜の写真が送られてきたところだ。浜の入り口あたちで溢れかえる人を避けて、ゆっくり通りぬける。

ここまで来るとホントに嫁の実家が近い。数日前まではそこで家族と一緒にいたのだ。

義母に無事を伝えようと仁尾峠を越えるが、これまた強烈にキツイ坂だ。嫁によると、ここを越えて自転車通学するんだよと聞いた。こんな坂を日常的に越えるなって、それだけでも変態と言っていいくらいである。仁尾の若者は是非自信を持って世界に羽ばたいて欲しい。

実家に着くと、どうも義母は外出中らしい…。無事ここまでたどり着いた事をラインで嫁に報告。実家を後にした。

 

最後の試練

そういえば、昨晩今治のゲストハウスで出会った女性に教えてもらった面白い写真、ちょうど草の輪っかの中にキレイな円錐形の山が写っている。おそらくその場所は、この先にあるらしい。

彼女は「Kaiganji」の近くと行っていた。「さぬき浜街道」とも…。

地図で見ると、確かに詫間から先の海岸沿いの道は「さぬき浜街道」と呼ばれ、「海岸寺」と言うお寺がある。

その後海岸寺までたどり着き、それらしい景色が見える所を探すがすぐには見つからない。お寺は道路を挟んで海側と、山側の少し高台にもあるが、そちらの境内だろうが…

ふと周りを見渡すと、浜街道の脇に植え込みの切れ目がある場所があった。何となく気になり入ってみると…。

わっかの先にあるのは島

見つけた! まさに宝探し的なフォトロゲイニングだ。同じ景色にたどり着いた瞬間、大変感動してしまった。それはそうと、よくこの景色を彼女はしっていたものだと感心。その時点でFacebook友達にはなっていなかったが、もしかして見てくれるかと、Facebookに写真をアップしておいた。

 

 

日没近いが、強烈な日差しが続く…

今日も相変わらず天気が良すぎる。今回の旅は結果的に台風よりも暑さとの戦いだった。でもあと少しでそれも終わる…。高松に着いたら、まずは風呂に入りたい。すでに高松港の近くにスーパー銭湯を見つけてある。もう夕方便には到底間に合わないので、次の便の午前1時までには相当余裕があるのだった。

宇多津の道の駅は、ゴールドタワーなるシンボリックな建物がそびえている。それが夕日に照らされ、まさに金色に光っていた。

宇多津ゴールドタワー

ここは瀬戸内海に沈む夕日を見ようと、どこもかしこもカップルだらけだった。ただでさえ暑いのに見てるだけでアツ苦しい景色に、休憩もそこそこに退散した。

 

日没までに間に合わず…

ゴールの高松港まで残すことろ20km余りとなったが、坂出の辺りで遂に日没。あと一山越えないといけないのだが…それには間に合わなかった。そりゃそうだ、余裕があるのをいいことに随分スピードが落ちているのだ。

坂出から高松へは、シコイチの推奨ルートでは玉越町を抜けて五色台の海岸線を行くコースと、県道161を越えていく最短コース、それに遠回りな上、交通量の非常に多い国道11号線となっている。

ちょうど玉越町方面との分かれ道に来たとき、道路案内の電光掲示板に「玉越町方面、台風の影響で通行止め」の文字…。台風イチマル号、なんとこんな最後の最後に「オマケ」を残していきやがった!

となると、県道161か国道11号となるが、国道は結構な遠回り。今回私は県道ルートを選択したのだった。しかーし、この選択が大きな過ちだったことにこの後気づく。

この県道161号、県道とは言うものの高松市内への最短と言うこともあり、交通量が結構多くトラックなども頻繁に行き交う。正直危ないかな、と思いつつも歩道を走ればいいかとそのまま進むことに。

県道161の歩道は荒れた細いもの。まあ、それはゆっくり行けばよいのだが、街灯が少なく非常に暗い道だった。それでも歩道があるからと進んでいくと、間もなくその歩道がなくなったのだ。しかも車道は片側一車線。路肩には植え込みは繁り、実質的に車道の内側を走らないことには先に進めなかった。そこを大型の車が高速並のスピードで飛ばしている。こんな道では車側もまさか自転車が走っているとは思わないだろうし、自転車の小さなライト程度では気付かれない可能性が高い。これでは轢いてくれと言っているようなもんだ。

ふと、車がある程度ひとかたまり毎にやってくることに気付いた。なので、その隙間を縫って、少し進んでは路肩の隙間を探して避難し、車をやり過ごしながら先に進むという作戦でなんとかトンネルまで辿り着いた。

トンネルはかなりの長さだったが人一人程度の歩道があったので、歩いてトンネルをやり過ごせた。

トンネルを抜けると下り。ここも歩道無し、灯り無し…。ここは一気に行こうと思い、転けて死ぬか、轢かれて死ぬ覚悟でブッ飛ばしながら下った。正直、この旅で最も怖い思いをした時間だった。(ここは絶対自転車で通るべきではない道だ。遠回りでも国道を行くべきだった。)

 

そして、完結!

そんなこんなで命がけで高松市に入った。最後のハードルも無事クリアし、あとはゴールにたどり着くだけ。

キラキラと輝くサンポート高松を通りぬけ、玉藻公園を回り込み、対岸に輝く怪しいネオン街を横目にしながら、徐々にゴールのジャンボフェリー高松港へ近づく。ストラバがちゃんと記録されているか、スマホの電池の状況を再度確認しつつ、その時に向かってペダルを回し続けた。

 

そして…、

四国一周、ここに完結

8月17日 午後8時30分、無事ジャンボフェリー高松のりばへゴール!

ストラバを止めた際の記録は…

総走行距離:925.8㎞
獲得高度:9,877m
平均速度:18.3㎞/h
消費カロリー:21027kcl

 

1,000㎞には届かなかったが、一周でいいよね?

これまで東海道も中山道も、それなりにしっかり準備し綿密な計画をもって実行したが、今回の四国一周ほど、唐突に思い立ち、大した準備や計画もせずに実行に移した旅はなかった。これまでの倍の距離にも関わらずである。しかも灼熱の太陽が降り注ぐ真夏に、台風が四国を通過する予報がでていると言う状況の中で…。

私はたぶん❝バカ❞なのだろう…。それは否定しない。

48歳にもなって家族もいるオヤジが、会社や世間での立場も気にせず、20代の若者のような青臭い振る舞いをするのだから…。でも、いいじゃないか! これからは我々オヤジの時代なのだ。と勝手に想定している。

人生100年時代と世間では言われている。とすれば、まだ私は折り返し地点にも届いていない。そんなベビーブーム世代が最も多い今の日本、40代50代と言えば、おそらく組織の中ならそれなりの立場であったりするだろう。しかしだからといって、オヤジ達は落ち着いて偉そうにしていたり、枯れたりしている場合ではない。人生のゴールは会社の中にはないのである。

であればこそ、元気でヤンチャなオヤジ達が悪乗りすることこそ、これからの日本を力強くすることではないかと、私は思う。(ホンマか?)

 

でも、ひとつだけ言えること。それは思ったことは絶対にやってみるべきだ。それがこの四国一周が教えてくれたこと。途中でダメになってもいい。スタートさえ切れば、そこにはきっと面白いもの、心を熱くさせてくれるものがいっぱい転がっているのだから…。

そして、次の夢はW環島だ。

 

(完)

 

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