自転車で行く近江の城(8)大溝城

久々の城ネタ

最近すっかりご無沙汰になっていた城ネタ・・・
城ネタのつながりでこのブログを読んでいただいた方も、そろそろ忘れ去られてしまうんじゃないかと危惧しております。

「ああ、そろそろ城ネタも書かないといろいろご教授いただいた方々から見放されるなぁ…」と思い続け、行った先で城跡の案内板などを見つけるにつけ、城ネタのプレッシャーに苛まれておりました。
今回そんな中、自転車で海津の桜を見にいく機会がありましたので、「このタイミングを逃しては、また当分城ネタが書けない!」、と新旭の清水山城か近江高島の大溝城を予定に組み込むことにしました。

 

大溝城

今年度は町内会の役員があたっているため夜には会合のため帰らねばならず、結局時間的にこの日は「大溝城」のみの訪問に。

「大溝城」。あの織田信長軍団の城の一つであります。
信長は政治の中心地「京都」のとなりにあり、琵琶湖の舟運など当時の交通の最大の要所である「近江国」を支配下に置いていきます。
北の関ヶ原にほど近い長浜に羽柴秀吉の長浜城を、京へ繋がる瀬田の唐橋や、比叡山延暦寺へ睨みを効かす坂本城へは明智光秀、当時日本海からの物資の搬入ルートであり、大陸からの人の出入りも多かった若狭へ近い位置の「大溝城」へは甥の織田信澄を配置。
そして集大成となる安土に自らが住まう「安土城」を築城したのです。

それぞれの城は琵琶湖を四方から囲む形で配置されました。しかもその全てが湖岸に面する形で築城された「水城」なのです。
信長がいかに琵琶湖を中心とした交通インフラを重要視したかが見て取れますね。
要はどんな時代もスピードが大事だって事。誰よりも早く行動でき、多くの情報を手にしたのもが勝つのが世の常なのです。

その意味で信長は当時の日本で最も情報の集まる京の都の隣に位置し交通上のハブ機能を担っていた近江、そのインフラの中心であり素早い移動が可能な琵琶湖の舟運を手に入れたのです。(信長って、大した地図も無い時代でも、俯瞰して世の中をイメージすることが出来たんでしょうね)

 

いざ大溝城へ


自転車ならJR近江高島駅をまずは目指します。
駅前のロータリーから「高島市民病院」をグルッと回り込んでいくと、裏手に石垣跡が見えてきます。
(病院の駐車場を通ることも可能かもしれませんが…)


▲天守台跡の正面

大溝城の天守台跡。本格的な石垣や天守台のある城は信長が発展させたものといわれています。
こちらもかなり立派な石垣です。


▲天守台の上

天守台には正面の石段から登ることができますよ。

石垣を四方から撮影しました。
周囲は畑?のような原っぱになっており、ぐるっと見て回ることができます。

 

大溝城は明智光秀の設計により築城され(2020年のNHK大河「麒麟がくる」では明智光秀が主役らしい。主演は長谷川博己さんに決まったみたい!)、後に織田信澄が城主となりました。しかしその後、本能寺の変が起こったことで、明智光秀の娘を妻としていた信澄は嫌疑をかけられやがて自害に追い込まれます。
時代が移ると一国一城令によって城は取り壊され、水口岡山城へと移されていきました。

天守台のすぐ脇には今も「乙女が池」という大きな池があります。琵琶湖とも直接つながっているこの池を含む水辺が大溝城を構成する一部となっていました。
当時は安土城や坂本城にも匹敵する、すばらしい水城であったことが想像できます。
有名な浅井三姉妹の一人「お初」(後に京極家の正室として生涯を全うした)も、この地で一時期を過ごしたそうです。

私、以前はルアーフィッシングをするのにこの乙女が池にも良く足を運びましたが、当時はこの城跡の存在には全く気が付いていませんでした・・・

 

周辺の関連史跡

大溝城の当時を物語る史跡はあまり残ってはいないようですが、調べるといくつかありました。


▲大溝城三の丸碑(写真提供:ビワコビジターズビューロー)

天守が取り壊された後、残された三の丸。ここには当時の藩主の邸宅などがありました。


▲大溝陣屋 長屋門(写真提供:ビワコビジターズビューロー)

京極氏が転封されたのちに城主となった分部氏の頃に、残された三の丸に構えられた陣屋の門の跡です。
近年まで民家だったものを高島市が買い上げ、有形文化財として保存されています。


▲まちわり水路のある街並み(写真提供:ビワコビジターズビューロー)

分部氏が城下町に整備した「まちわり水路」。現在もほぼ当時の町の区割りが水路とともに引き継がれています。

大溝城は、自転車でも手軽に行ける立派な城跡でした。近くには「高島びれっじ」や酒蔵(福井弥平商店)など見所もイロイロあるので、ジックリ自転車でまわるのに良いところですね。

 

大溝城の地図

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