消費型観光から地域の持続性に貢献する観光へ〜サスティナブルツーリズムという世界に触れて感じたこと

こんにちは、最近完全に雑記しか書かなくなってしまったフナズシマルです。

そもそもブログなんていうのは、アフィリエイト目的でもない限り、自己を吐き出す場所でしかないと思う。たまたま通りかかった人がそんな自慰行為的なものを見て反応してくれるということではなかろうか? 

心に溜まったもの、溢れそうな思いは都度何かに吐き出していかないと結局モヤモヤとした気持ちとして残り続ける。だったらちゃんと外に出すことが健全であろう。ただし他人を傷つけるような行為にならないように配慮することが前提。と、私の場合はそこが前提なので尖った表現などはあまりしてないと思うのだが…。ともかくブログを書くことで自分の考えを整理して定着させることに今のところ役立っているから、引き続きまとまりのないサイトではあるが自己満足を得るために続けている。お許しくだされ。

さて前置きはその程度として、先日私の事務所のあるコラボしが21の3階にて、滋賀プラスサイクル協議会主催の研修会があった。

これは、県内のサイクリングガイド事業者やサイクルツーリズム関係者向けに行われたもので、タイトルが、「持続可能な観光」に向けた自転車活用 世界から選ばれる「ビワイチ」のために という大変興味深いテーマのもの。

これについて自分の中に得たものを整理しておきたい。といっても今回のコンテンツの中身をシェアするような記事にはしない。あくまでもこの研修会で得たものを今後自分自身がどう扱っていくのかを書き出しておきたいのだ。

2部制だった今回の研修会でメインでお話いただいたのが、高山 傑(たかやままさる)氏だ。株式会社スピリット・オブ・ジャパン・トラベル代表取締役で、一般社団法人JARTAの代表理事も勤めておられ、また日本には3人しかいないサスティナブルツーリズムの国際認証機関となる「グローバルサステナブルツーリズム協議会」の講師をされているというお会いできるだけでも貴重な方である。今回の機会を作っていただいた皆様には大変感謝している。

サステナブルときて、自転車…。

単純に自転車=エコという図式で表現される場面は多いと思うので、まったく違和感自体はないところ。

昨今、SDGsはじめあらゆる場所でサステナブルが叫ばれているが、欧米ではサステナブルな企業や商品でないと取引対象や購買対象にならない程に重要らしい。

ならばサイクリングツアーだって、もっとサステイナブルを売りにすればと思うところだけど、今のところ当社でもそこまでアピールはできていない。

というか、サイクリングをエネルギーの観点で考えて、人力のみしか使わないから環境負荷が小さいという根拠でサステナブルと言ってしまう場合、当社はまずEバイクをメインにしていること、そしてガソリン車を使ってEバイクを運んでいる。という点で全くサステナブルな面での説得力がない。

正直、サイクリングや観光が娯楽の一種である以上、楽しさがまず第一にないことには入ってくる人が少ないと思うので、事業者としては環境面よりいかに楽しさや利便性を提供できるかという視点で考えてしまう。そうなると、サステナブルな面はどちらかというとサイクリングの付属的な要素としての展開になっていて、価値観や購買理由への影響は低いままである。

ただ単にサイクルツーリズムがSDGsにも貢献するからいいんだよ、だからちょっと高いお値段でも参加して!って言っても誰にも響かない。

実際に「なぜ私は自転車に乗り続けているか」という理由を考えた時に、サステナブルな乗り物だからという理由を言わないだろう。私の場合、あくまで自転車が楽しいから乗るのであって、副産物的にダイエットなどの健康面での効果や、エネルギーと移動費の節約に役立つ面などが自転車を趣味とすることへの自己満足を押し上げているにすぎないと考える。ただそういった自転車の効用面が、趣味以上の社会的可能性を感じさせてくれる部分があり、ある種の自転車教的な独特の世界観へと繋がって、私自身そこに向かってどっぷりとハマってしまった。おかげで多くの普通では出会えない人達と繋がることもできたし、人生も大きく変わった。その意味では私にとって自転車の存在はまさに神だ。

しかし、ここはちょっと冷静になって、自転車好きの外の視点をもって考えてみたい。

正直、サスティナブルを進めるにしても、進めることをボランティアでやるのか、ビジネスとしてお金をもらってやるのかという問題がある。ビジネスとして取り組みならば、サイクリングツアーのマネタイズにしても難しい状況なので、楽しいのかどうかも一般の人にはよくわからないサステナブルというワードに、いかにして観光の面で価値を感じてもらうのか? そこが重要だ。

今回の話を聞いて感じた私の結論。

観光を通じて「地域への貢献」ができる商品作りと「その価値を伝える力」が必要!

ということ。

クラウドファンディングなどに代表されるように、応援型消費は割と一般化してきた。農業や漁業など直接生産者と繋がって、その商品を買う。そのことで生産者の感謝の気持ちや、購買者の喜びの声をお互い直接聞くことができ、買い物を通してそれぞれの人間同士の感情まで一緒に手にいれることができるものだ。

従来はただ単に安くて良いものをたくさん手にいれる。が、世の中の消費パターンだったが、最近は誰かの助けになるならば、少し高くてもそちらを選ぶというパターンが増えている。そのほうがお互いの安心感や信用も高くなる。物が豊富にある社会において、おそらく消費活動としては一巡し、単に高い物を手にいれる贅沢にはさして価値を感じなくなっているのかもしれない。それよりもさきほどの自転車趣味のように、より社会性や自身の人間力を高めてくれる価値を本来の商品の機能に付加した形で手にいれる体験、そこに人々の価値観が移っているのかもしれない。購買が自己表現のひとつの形として成り立っている。

であるならば、ここを観光で考えてみたい。

そもそも当社がやろうとしていること、それは滋賀という地域の魅力を多くの人に知ってほしい。そして訪れる人との繋がりが増え、地域で活動する人の力になってほしい。そのためにサイクリングを始めとした従来型観光ではない旅のスタイルで、滋賀の観光を体験していただく機会を増やすことを創業の目的としている。

滋賀を訪れる人を増やし、地域を好きになり、地域を応援してくれる人を増やす。それが地域経済の活性化に繋がり、やがて地域の経済や文化の持続性を生み出す。ただ単に経済効果だけを求めず、訪れる人が適切に地域との関わりを持てるようなコミュニケーションサービス業として、観光のあらゆる面を誘導していく。そこが当社の目指すべき方向性である。

これは改めて考えると、まさにサステナブルな活動そのものであった。いまさらながら、今回の講習会で気付かされた。

このような方向性でツアー商品などを作っていながら、実はこれまで自分の事業は地域を応援する事業だと謳っていなかったのである。

先日の講習会で高山氏から受け取ったメッセージとして、サステナブルな考えの元に作られた商品がどんな価値をもっているのか、わかりやすく顧客に伝えていく義務がサービス提供者側にあるということだった。ここが全くできていなかった……。ちゃんと伝えないと、顧客はその商品によってどのような価値(応援効果)が生まれるのかがわからない。

ヨーロッパでは、商品に例えばどの程度カーボン削減できるかの明示がされていて、それが購買理由に繋がるのだという。日本にしかいない私にはまだまだ海外のそういった感覚は身についてない。

日本人の場合は、自治体や大手企業中心にSDGsについては言葉だけが先走っているように感じるが、一般消費者の大きな購買理由になっているというところまではまだまだではないかと思う。しかし一方でクラウドファウンディングがかなり一般化していることを考えると、応援消費的な部分では進んでいるようにも感じる。

今後の観光事業の方向性として、まずその商品がどういった地域への応援効果があって、どのくらい地域の人の笑顔を作れるか、といった面をわかりやすく顧客に説明し、それによって顧客の満足に繋げていけるように我々旅行業が動いていく必要がある。

そういったコミュニケーションサービスの面を高めていくことを考えると、ある面ではメディア的思考と能力もこれからは持っておくことが大事かもしれない。

それと一番大事なこと。やはり自分自身の持続可能性だろう。

【以上】