近江の酒蔵に行ってきた(4)~東近江市:畑酒造

酒蔵巡りサイクリング

NPO法人 きれいなおうみを作ろうの会

最近、こちらのサイクリングツアーでガイドのお手伝いをさせていただいています。

主催のK氏とはサイクリングツアーに盛り込みたい方向性が似ていて、このところの一連のツアーでは滋賀県の酒蔵巡りをテーマにされているのをいいことに、自分も楽しみながらガイドさせていただいております。

 

といっても自転車ですので飲酒は絶対ダメ。

あくまでも酒蔵訪問は見学&地酒をお土産に買って帰る目的で立ち寄っております。ただ滋賀っていうのは豊富な水、豊かな自然、その風土から生まれる美味しいお米がそろった地域。滋賀の地酒はそれらの結晶として存在し、滋賀を語るには外せないのです。

 

要するにこのところ酒蔵に訪問することが増えたということ。

と言う訳で、先日訪問した酒蔵について…。せっかく自転車で訪問したのに当ブログでレポートしない手はありません。

 

畑酒造

東近江市・畑酒造

はい。こちら東近江市小脇町という場所にある「畑酒造」という蔵元様です。こちらのブログFacebookページが主な蔵の情報発信の場のようです。

代表銘柄は「大治郎」

 

蔵の場所は国道421号を八日市市内中心部へと向かっていると交差点の右手に黒壁の建物が見えます。

このルート、実は「八風街道」なんです。まさに街道あれば酒蔵(と和菓子屋)ありの典型ですね。

自転車でめぐる近江の旧街道~八風街道(近江八幡~八日市)

先日の八風街道サイクリングの記事でも通りかかっておりますが、いつもタイミング的に空いてなかったり時間がなかったりと、前は通るのですが入ったことがありません。

今回も実はコロナ対策の関係上、蔵の見学はさせてもらえませんでした。

というのも今は仕込みの真っ最中なので、もし杜氏さんや蔵人さんが感染してしまうと酒造りに大きな影響がでてしまうからです。コロナでお酒が作れませんなんてことになったら私は二度と立ち直れません…。

そんな事情もあり、現在はどこの酒蔵も知っている限り見学会や試飲会などのイベントはされていません。今回も小売のお店の中までとなります。お酒が飲めるだけでわたしゃ幸せですから…。

ずらりと並ぶ大治郎

でも、店内に入るとテンション上がりますね!

ツアー参加の皆さんも、ツアースタッフも、サイクリングそっちのけでズラリとならぶお酒達を一生懸命品定めされていました。私も知っている限りの日本酒の造りに関する情報で、参加者の皆さんのお酒選びをサポート。自分でも何屋さん?と思うくらいお酒買ってもらうことに喜びを感じている始末…。先々はどこかの地酒コーナーで働いてるかも?

結局この日は同行した東近江市観光協会の方がびっくりするくらい、皆さん大量にお酒を買っていかれました。

まあ、それにはちょっと秘密がありまして、このサイクリングツアーには荷物運び用に軽自動車のサポートカーが帯同しているのです。なので、リュックに入りきらないお土産も思う存分買えるって仕組みです。

 

では少し畑酒造さんの情報を。

代表銘柄が「大治郎」と書きましたが、もとは「喜量能(きりょうよし)」というブランドがこちらの蔵のメインでした。(もちろんメインブランドのひとつです)

これまでの味も守りつつ、時代の流れに合わせより高品質な酒造りを目指し名付けた新たなブランドが「大治郎」なのです。

ちなみに大治郎というのは現在の蔵元であり自ら杜氏も兼ねている畑大治郎社長の名前から。

この名前は創業者の名前でもあるそうです。

当初は本格的な生原酒にこだわって作られていたそうですが、現在では割水や火入れのレパートリーも。ただ酒米はあくまでも全量地元産に拘っておられます。大治郎は、そういった拘りをお酒そのものやラベルデザインなど含めた全体で醸し出しており、良いお酒を飲んでいるという気分を飲み手に感じさせてくれる酒なのです。

 

大治郎 純米うすにごり生原酒

で、今回購入したのは2種類。

【大治郎 純米うすにごり生原酒】

うすにごりと聞くと弱いフナズシマル…それだけで購入理由になったりします。

使用されるお米は「吟吹雪」。100%なので麹米も掛け米も吟吹雪ですね。

日本酒造りに使われるお米の品種は100種以上ありますが、こういった酒造りに適した品種を「酒造好適米」と呼びます。

吟吹雪もそのひとつで、母に酒米の王様「山田錦」を持ち、父には滋賀県のお酒では比較的多くのエリアの酒で使われている「玉栄」という掛け合わせから生まれた品種です。

玉栄は吟醸酒に必要な心白(お米の中心の白い部分)の発現が不安定であるという短所があり、一方山田錦は栽培時に倒れやすいという短所があります。それら二つの品種を掛け合わせることで倒れにくく、かつ心白が発現しやすい米として滋賀県農業試験場によって作られました。

酵母は割とオーソドックスな協会9号酵母が使用されており、日本酒度+4というスペック。

飲み口は、グラスに口を持って行った瞬間、フワーッと薫る吟醸香が華やか。生原酒ということもありどっしり感があるかと思いきや、スッーとキレる後味が綺麗なお酒です。やや辛口感が強めなこともあり、毎度味見役のうちの嫁曰く「ちょっと辛い…」だそう。

一般的な女性好みではないかもしれませんが、和食料理を引き立てる上品さな甘さと酸味が感じられます。(うちの嫁はチャミスル好きなので結構甘いお酒好み)

 

生もと 渡船六号 純米生酒

んで、もう一本!

私はどうしても酒米みて買っちゃう。

こちらは、【生もと 渡船六号 純米生酒】

こちらも麹米も掛け米も渡船ですね。

渡船の系譜は以下の通り。

※滋賀のお酒で比較的よく使われている酒米は太字にしています。スマホの方は拡大してみてね!

 

「滋賀渡船」という品種はこの系譜を見るとわかるように山田錦の先祖にあたる品種です。

この品種はもともと昭和34年ごろまで湖南地域を中心に作られていたのですが、その後生産されなくなり、後は文献に残るくらいになってしまった幻の酒米なのです。

平成15年にJAグリーン近江酒米部会の要望によって、滋賀県農業試験場に残っていたわずかな標本から復活を遂げたというストーリーを持っています。

なので、この酒米を使ったお酒もついつい買ってしまいます。

今回の2本で言うと、おじいちゃんと孫といった関係性でしょうか? そんなことを考えながら飲む一杯もまた楽しいのです。

その渡船六号を「生もと」という昔ながらの乳酸菌の取り込み方(対義となるのは速醸といって乳酸菌を添加する方法)によって醸されています。生もと系の酸味が私は好みなので、生もと造りとか山廃って書いてあるとだいたいすぐ買います。自然にある野生の乳酸菌で醸されるので独特の力強い旨さがあります。

酵母は協会7号という全国的にも特によく使われるタイプのもの。9号よりは香りは抑え目に仕上がるそうです。日本酒度も前述のものよりさらに1度あがって+5。生原酒ではないのでおそらく加水タイプなのでしょうね。よりスッキリとして完全に食中酒として料理と一緒に味わいたいタイプとなっています。キンと冷やして鯉の洗いとか、ビワマスのお造りと合わせてみたいお酒ですね。

 

こんな記事書いてたら、また飲みたくなってきた。やばいやばい…。

あ、今週末もまた湖東地域の酒蔵ツアーが続きます。しばらくはウチの冷蔵庫に滋賀酒が切れることはなさそうですね。

 

(畑酒造有限会社)
住所:滋賀県東近江市小脇町1410
電話:0748-22-0332
アクセス:近江鉄道太郎坊宮前駅から徒歩約6分

 

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