自転車ツアーのガイドという職業についての考察(3)〜旅の安全・安心

安全という品質を考える

こんにちは、フナズシマルです。

ここまでサイクルツアーガイドについて、どうやってビジネスにしていくのかってことをずっと考えてきました。

私の出した方向性は先の記事にも書いていますが、「旅行業」という土俵の中でサイクリングを新たな付加価値として提案するというものです。自転車業界というマニアをベースにしたものではなく、旅行という一般的なカテゴリーの中にどうやって自転車の付加価値を広げていけるかというところが私の今後のテーマになります。

さて、そうやって考えていく中でプロとしてサイクリングツアーを提供していく以上、どうしてもぶち当たる課題があります。

それが「安心と安全」というクオリティーに関してです。

 

どんなものでもそうだと思いますが、例えば地域イベントのフリーマーケットで売買される商品や、個人的に誰かにプレゼントする手作りのお菓子などに、品質や製品の補償を求める人はそんなにはいないと思います。(もちろん食品には衛生面の注意は必要ですが、厳しくはないかと思います)

しかし企業としてあるサービスを提供する以上は、様々な安心・安全といった面のクオリティーや法令遵守といった責任が求められます。しかもこれらは付加価値を生むものというよりは、製造業でいうところのミスや不良がないといった「あたりまえ品質」に相当するところです。

ボランティアとの違いというと語弊があるかもしれませんが、企業としてやる以上はよりそういった社会的責任を求められることになります。リスク管理という意味においてもあらかじめ安全・安心を確保するための何らかの根拠が必要と考えました。

 

サイクリングガイドの安全スタンダードはどこに?

ということで、改めて「安全と安心」にまずは取り組みたいと思います。

とは言え、正直この業界というか、サイクリングツアーにおける安全管理のスタンダードって無いように感じます。

サイクリングイベントを主催するところでは、それぞれ似通ってはいるものの独自の方法で安全に走行するためのルールが用いられます。そのルールは地域、団体、もっといえば個人レベルで違いがあり、私自身も誰と一緒に走るかでその都度方法が変わるため戸惑うくらいです。

なので、少なくともきちんと体系化してルールを取り決めている組織の下で、将来的にも基準となるであろうノウハウを知りたいと思いました。

いろいろ調べていたところ、私の知っている著名な方々が登録されている団体がありました。それが「日本サイクリングガイド協会」です。

こちらの団体は、まさにプロのサイクリングガイドとしての安全管理や法令に従った正しいガイド方法を広め、現在のようなプロアマ入り乱れ、混沌としているサイクリングガイドに関するノウハウに一定の基準を作っていこうと活動されています。

正直かなり講習会料金も検定の厳しさも含めて敷居が高いのですが、それだけ本気でこの業界で活躍したいと思う人だけに絞ろうということなのだと思います。

果たして私が通用するかどうか不安はありますが、ここでしっかりと安心・安全の基本を叩き込まれてこようと思います。

 

ちなみに日本サイクリングガイド協会が推奨する、サイクリングツアー中に万が一事故が発生してしまった際の対処法を教えるファーストエイドプログラムがあります。

それが「サイクルセイフティ」という講習会です。こちらも受講する予定です。

どれだけ気をつけていても事故の可能性はゼロにはなりません。それなら起きてしまった時に適切に対処する方法を身につけ、事故の影響を最小限にしていく必要があります。

この講習会と合わせて受講し、これから来ていただく未来のお客様に「見えない品質」として提供できればと思います。

 

ガイドツアーを旅行とするならば…

それと、サイクルツアーではあまり言及されることがないように思うのですが、ガイドツアーも旅行商品のひとつと考えるならば、保険のことはどうすべきかという課題が出てきます。

旅行業法では、各旅行業者に「標準旅行業約款」(もしくは準ずるもの)を掲げることを求めていますが、その約款には別紙として「特別補償規定」というものが設けられています。

特別補償規定の説明は、JTBのサイトにわかりやすい解説がありましたので以下に引用します。

特別補償とは、募集型企画旅行受注型企画旅行を実施する旅行会社の責任の有無を問わず、企画旅行参加中に、急激かつ偶然な外来の事故で、旅行者がその生命、身体または携帯品に被った一定の損害について、あらかじめ定める額の補償金および見舞金を支払うこと。生命もしくは身体に被った被害に関しては死亡補償金のほか、後遺障害補償金、入院見舞金、通院見舞金が、現金やクレジットカードなどを除く携帯品に被った被害は損害補償金が支払われる。標準旅行業約款には別紙として規程が設けられている。旅行特別補償保険に加入している旅行会社が多い。

ということで、旅行会社を通じて旅行に参加する旅行者はこういった旅行業法の中で守られる形になります。

しかし旅行の参加者自らが運転するサイクリングツアーについては、宿泊や車での送迎などを行わない限り対象とならないと実施者によって判断されていて、旅行業として提供しているところは少ないのではないかと思われます。

 

旅行業の定義を調べると…、

旅行の企画・手配によって、

  1. 報酬を得る
  2. 一定の行為を行う
  3. 事業である

というものになります。

曲者なのが②番の一定の行為というヤツなのですが、これは旅行業法第二条に示されています。

 

第二条 この法律で「旅行業」とは、報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送サービスの提供について、代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。

一 旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることができる運送又は宿泊のサービス(以下「運送等サービス」という。)の内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行に関する計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、当該計画に定める運送等サービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等サービスを提供する者との間で締結する行為

二 前号に掲げる行為に付随して、運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービス(以下「運送等関連サービス」という。)を旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる運送等関連サービスの提供に係る契約を、自己の計算において、運送等関連サービスを提供する者との間で締結する行為

三 旅行者のため、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為

四 運送等サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為

五 他人の経営する運送機関又は宿泊施設を利用して、旅行者に対して運送等サービスを提供する行為

六 前三号に掲げる行為に付随して、旅行者のため、運送等関連サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為

七 第三号から第五号までに掲げる行為に付随して、運送等関連サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等関連サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為

八 第一号及び第三号から第五号までに掲げる行為に付随して、旅行者の案内、旅券の受給のための行政庁等に対する手続の代行その他旅行者の便宜となるサービスを提供する行為

九 旅行に関する相談に応ずる行為

これを読む限りでは、あくまでも宿泊と運送に関わる部分のサービスだけと思われますね…。

ただ先日、旅行業をされている方にお聞きしたところ少しグレーな部分はあると仰っていました。

いずれにせよ旅行業法に則った形で提供される旅行会社のツアーは、法律によって旅行者は保護されるというところがポイントです。

入り口がどこになるかで変わってくると思うのですが、一般の旅行者にサイクリングツアーを販売した場合、おそらくその旅行者は通常のツアーと同じように思う可能性はあります。そのため、ツアーの販売時には保険の補償範囲などを明示しておかないと、後からトラブルになる可能性もありえます。

そういう意味においても、先々サイクリングツアーがより多くの人に認知されサイクリスト以外の人からの需要が増えた時に、お客様の安心に繋がるのは旅行業法の下で実施できることだと思っています。やはりツアーと冠する以上はお客様に安心して旅行に参加していただきたいですから。

 

ということで、2月には旅行業実務を教えてもらいに旅行会社の研修に行ってきます!

これからさらに、安全・安心で楽しい自転車の旅を皆様にお届けするため、これから色々勉強がんばりますよー。

 

 

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