近江の地酒:旭日 短稈渡船 生酛純米酒

びわ湖一周ロングライド2017

地酒の話と思いきや、まずは3月12日に行われた「びわ湖一周ロングライド2017」に参加したというところから…

昨年の長男との参加に引き続き、今年は中学を卒業する次男が参加したいということで、二人で申し込みました。
次男っていうのは長男がしてもらったことを同じようにやってもらいたいもんなのですかね…
何はともあれ父親冥利に尽きるありがたい話です。

結果から言うと二人ともに無事完走することができました!

で、この大会は毎回彦根や長浜スタートなので、彦根に住む私の母親に一晩泊まらせてもらっておりまして・・・。
朝6時集合となると彦根でも4時すぎには起きないといけないので。

母親の住む地区から車で10分~20分程度のところに「藤居本家」「岡本本家」という酒蔵があります。
(なんていい地域なんだ)
この2軒の酒蔵は店頭で直販されているのでビワイチに参加のときには完走の自分へのご褒美に買っていくのです。
(と言って完走する前から前夜祭を始めちゃいますが…)

旭日 短稈渡船 生酛純米酒2017

ビワイチ前日の参加者登録を長浜で済まして帰りに「岡本本家」に寄りましたが、17時を過ぎていたこともありすでに閉店後でした。
今晩は「金亀 白80」の気分だなぁって思ってましたが、まぁ仕方ない。(やっぱり今晩飲んじゃうのね…)
気持ちを切り替えて「藤居本家」に向かいました。

閉店間際ではありましたがなんとか間に合い手に入れたお酒がこちら。

「旭日 短稈渡船 生酛純米酒」
720ml 1566円

お店の値札のところに貼ってあったPOPを見ると、新商品のようです。
こちらの蔵は酒米に「渡船」を使った商品を積極的に製造されてまして、
その一つに「旭日 短稈渡船 純米吟醸生原酒」という商品が以前からあります。

720mlで2200円とチョイとお高めの商品。
純米吟醸なので精米歩合は60%です。なおかつ生原酒。

でも今回の「旭日 短稈渡船 生酛純米酒」は精米歩合80%
したがって吟醸酒ではありません。そして加水+火入れの商品ということでコスト的に求めやすくなっている商品と言えます。
しかし‼ お味は決してスペックダウンではありません。

ここでお酒のスペックについて簡単に解説してみます。

日本酒のラベルにあるスペックの意味

多くの日本酒はその商品名としてスペックにあたる様々な製造方法の違いを付加価値としてアピールしています。
例えば今回のお酒「旭日 短稈渡船 生酛純米酒」の場合は、

①旭日・・・銘柄
②短稈渡船・・・酒米の種類
③生酛・・・酛の作り方の違い
④純米酒・・・醸造アルコールを添加したものか、してないものか

という具合。お酒のラベルにはこれほどの情報があるのです。

①の銘柄はブランド名なのでいいとして、それ以外がスペックにあたります。

酒米とはお酒を造るための原材料そのものです。
お米は麹を作る際にも使いますし、醪を作る際にも使います。
前者を麹米、後者を掛け米と呼びます。
この米の銘柄には有名なところでは「山田錦」があります。
この短稈渡船はこの山田錦の親にあたる銘柄なのです。(短稈渡船と山田穂という稲を掛け合わせて作られた)

短稈とは稲の背丈が短いという意味で、ルーツをたどると「雄町」という背丈の高い品種の子供にあたります。(雄町は背丈が高いため倒れやすく育てるのが難しいとのこと)
この雄町を滋賀県の農業試験場が取り寄せた際に九州から「船で渡って来た」雄町ということで「渡船」としたそうです。
その時の品種改良により渡船2号ととして作られたのがこの酒米「短稈渡船」なんです。
ここだけでも私は奥深さとロマンを感じてしまいます。

③の生酛、これもお酒を語るうえで重要なスペックです。
お酒を製造する際に、大量生産に移る前にまずはスターター的な役割である「酛」(=酒母)を用意します。
この酛を造る際の「乳酸菌」の取り入れ方によって酛の呼び名が変わるのです。
(乳酸菌は酒母内の雑菌の増殖を防ぎ、酵母が増えやすい環境を作るために必要)

1:昔ながらの「山卸し」という櫂で酛をかき混ぜ、空気中の乳酸菌を取り入れる手法が「生酛」
2:この「山卸し」という作業自体を割愛した方法を「山廃」(山卸しを廃止なので)
3:乳酸菌をアンプルで酛に添加する方法を「速醸酛」

というと私は認識しております。(違ったらご指摘ください・・・)

この商品は昔ながらの「生酛」で酛を造っているという意味になります。
(ただしメーカーのよっては山廃も生酛と表示している場合があります。速醸酛に対して山廃も生酛の一種には違いないのですが)

日本酒造りで活躍する微生物には「麹菌」「乳酸菌」「酵母」があるのですが、ほとんどが本来は自然に空気中に存在しています。
本来日本酒はこれらを自然からうまく取り込むことで作られていました。
昨今はこれらを手間暇かけずに添加する技術が確立されているため、逆にこういった昔ながらの製法が付加価値として
商品の成り立ちを表すキーワードになっているのです。

最後の④純米酒という言葉、本来日本酒はすべて純米酒だったのですが、
これも醸造アルコールを添加して作る日本酒が出てきたために純米酒という呼び名が現れたと言えます。

旭日 短稈渡船 生酛純米酒のお味は?

私の個人的感覚ですが、生酛や山廃などいわゆる「生酛系」のお酒はややコクがあって酸味が立っているものがあるのが多いように思うのですが、
このお酒もどちらかというとやや酸が勝っている感じではありつつも、山田錦のように非常にキレがあってスッキリした辛口の味わい。
逆にコクはそんなに感じません。
今回は燗にはしませんでしたのでそのせいかもしれませんが、飲み飽きないスッキリ感がヤバいです。

火入れの場合どうしても酸味(フレッシュ感)が少ない場合が多いですが、これはそのあたりも残っています。
きっと燗にすると味がまた大きく変わると思われます。(この手のお酒は燗をするとコッテリ感が出たりして味のイメージが大きく変ることがあるので面白い!)

生原酒などの場合は濃い感じがしたりするので、私の場合は料理に合わせるよりも単独で飲むことが
多いのですが、このお酒は単独でもグビグビいけますし淡白な料理にもマッチします。
ある意味「旭日 短稈渡船 純米吟醸生原酒」よりもあらゆるシーンにマッチするコスパの高いお酒では
ないでしょうか?

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3件のコメント

親子で完走おめでとうございます
スタートこそ寒かったですが、良い天気に恵まれ最高のサイクル日和でしたね。
私は初参加でしたが過去開催で噂に聞いた大渋滞もなく快適なライドをさせてもらえたなぁと関係者の皆様に感謝しています。
完走のご褒美、今回もとても美味しそうですね!
近日中に手に入れて飲んでみようと思います。日本酒の解説もとても勉強になります!
ルーツを辿る・・・色々な想いやロマンが交錯して旨さ倍増の秘訣かも知れませんね(笑)

私は3/9出荷の萩の露今朝しぼりと言う商品をたまたま手に入れていた(北島みずかがみ購入時に偶然にも予約受付けていたので即注文!FUNAZUSHI-MARUさんのおかげです!)のですが、その時にはライドで萩の露蔵元前を通るとは思っていなかったのでちょっとビックリ!(笑)何かのご縁かな?と想いながら美味しくいただきました。

カーズさん
今回のビワイチは大音の交差点を迂回してましたね。こんなルートあったならもっと早くにやっといてくれれば、と思ったくらいスムーズでした。
ただ賎ヶ岳トンネルで渋滞してたのがちょっと…(^^;)
でも天気は今までで一番最高でしたよ!
カーズさん、初めての参加がこんな絶好の天気なんて、もってますね(^^)

日本酒はその製法を知るともっとおいしく味わえますよ。(^^)
米なんていろいろありすぎてキリがないですが…
萩の露の話されてたので、高島の酒蔵の件は知ってるのかと思って言わなかったのですが、そうだったのですね。実はコース上に福井弥平商店があったのです。(^^;)
カーズさんは辛口派?旨口派?
ちょっと濃いめの旨口生原酒がお好きなら、同じ高島の「不老泉」がおすすめです。
上原酒造という酒蔵です。
僕は鮒鮨にあう濃厚な酒が好きなので、滋賀酒の一番って聞かれたらこの不老泉の酒母四段という変わり種がおすすめです!(^_-)

こんばんは
賤ヶ岳トンネル、FUNAZUSHI-MARUさん達が通過される時は渋滞していたのですねΣ(゚Д゚)こちらは4組2番手スタートだったので、3組のスタートからインターバルがあったせいか普通に進入出来ました。ただ、トンネル内で何故かライダーの方が1名、降車して立ち止まられていたので、それを回避するために集団のスピードが落ちた時は一瞬焦りました・・・降車されていた方も事故では無さそうだったので良かったですが。落とし物でもしたのかな?

萩の露の件は本当に偶然でした。
心の中でおぉー!と叫び、看板を何度も見返してしまいました(笑)

私は旨口派ですね!味わい深いお酒大好きです。製法もFUNAZUSHI-MARUさんのブログを参考にしつつ、ちょっと勉強してみたいと思います、更に美味しく飲めそうですものね。
オススメしていただいた「不老泉」はまだ飲んだことが無いのでぜひ飲んでみたいと思います!

朝鮮人街道(後半)の更新も楽しみにしています

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