人混みを避けて、山の春を探しに…

一人サイクリング

自転車の凄いところ。

食べ物と飲み物さえ持っていけば、跨っているサドルとペダルとハンドル以外どこにも触れることなく移動できるところ。

そしていつものように山に向かって走っていけば、誰とも会わずとも素敵な景色に心躍らせ、自然や自分自身との会話を楽しみながら過ごせるところ…。

 

もともと私は一人でサイクリングが好きだ。

旧街道のちょっとした道標や史跡にいちいち立ち止まったり、自然の風景に目を止めたりしながら走るので、同行者が一緒だと自由にそれができない、というか申し訳ない…。

もちろん仲間と走るサイクリングも好きなのだけど、そんなふうに見える景色にいちいち反応しながら、自分と会話し気分次第で自由に走るのが好きなのだ。

だから一人でどこへでも何時間でも自転車の上に跨ったまま過ごせてしまう。サイクリストは多かれ少なかれそんな部分をもった人種だと思う。着かず離れず…、そんな距離感がサイクリスト同士にはしっくりくるのだ。

 

しだれ桜と茶畑

コロナ禍ですっかり一人サイクリングが現時点の最善の楽しみ方となっている。というわけで、家から真っ直ぐ甲賀の山の中へ向かって春を探しに走り出した。

もうすっかり遠い昔に感じてしまうけど、この冬は超暖冬だった。桜も幾分か早めに盛りを迎えるであろうとの予測だったが、思ったほど特別時期が早まるわけでもなかったようだ。

であれば、そろそろ信楽の「畑のしだれ桜」が見頃だろう。

 

まずは大戸川沿いを信楽へ。大鳥居の交差点からミホミュージアム方面へと向かう。

途中に「三筋の滝」があるので、まずはそこで一息。

誰もいない。ここはいつものこと。もう何度も来てる場所だけど…。

 

いつもならこの先で522号線まで行って回り込むルートを取るが、今回は手前から林道を登る。この道は林業の軽トラくらいしか走らない。案の定、車一台遭遇することもなく畑へ到着。

 

樹齢の400年のしだれ桜は形は崩してしまっているが、今年も満開の姿を見せてくれた。

サイクリスト1名がベンチで桜を眺めていたが、いつもなら話しかけるところだけど、今日は会釈だけにしておいた。

 

畑のしだれを見たらやはりここも見ておかないと…。朝宮の茶畑だ。

 

深い緑の畝が整然とどこまでも並ぶ様がなんとなく異様に感じてしまう。

しかし、すでに滝に桜に茶畑、なかなかのバラエティーに富んだコースである。

 

滝もういっちょ

いつもの景色を見たら一旦国道まで出る。

この前までのスカーレット人気で観光客の増えていた信楽も、さすがに少し人出が減っている感じはする。

でも相変わらずライダーはバンバン走っている。彼らはヘルメット被っているので走行中に飛沫をまき散らすことはないと思われるが…。

 

立石橋を右へと進み、次に立ち寄ったのはまた滝。

鶏鳴の滝には数名の先客が。

 

家族連れの脇をそそくさと通りぬけ、滝をカメラに収めると足早に後にした。

 

大戸川沿いにもいい感じに桜が咲いていた。やはり信楽は見頃が少し遅いのかちょうど今が見頃だった。

 

無の境地

県道50号まで戻り、相変わらずライダーで繁盛している感じの「森のカフェ」を横目に通り過ぎ、しばし越境。ほんの少しだけ三重県側に入るので不要不急の県外への移動である。

この辺りまで来ると車もほとんど走っていない。

県道132の甲南阿山線に入る。ここは初めて走る道だ。先がどうなっているのか全くしならいので果たしてとんでもない坂が出てきたら…、なんて想像しながら進む。

鶏鳴の滝で先客の家族を見かけてからここまで人に出くわすことすらなくなった。

もう人工的な音すら聞こえない。風にそよぐ木々や草の音の他、何も…。あ、あと坂を登る自分の息遣いだけ。

いい道だ。自分が自然と一体となっているかのような感覚。自転車を漕いでいるはずなのだが、なぜか地面から自分が生えているかのように感じる。

 

さして急ではないが、適度なアップダウンの先に「恵障寺」という寺があった。

このあたりは岩尾山というらしい。景勝地のような雰囲気があったので一度どんな寺か見てみようと境内まで行ってみることにした。すぐに着くかと思ったがこれが間違い。結構な斜度を500mほど登らされた。

 

岩尾山というだけあって岩が多い山みたいで大きな曼荼羅岩や摩崖仏が境内にはあった。まだまだ奥にも石段が続いているようだが帰りのエネルギーと時間も残さないといけないので退却。

 

甲南阿山線には池がいくつかありソロキャンプをしている感じの車とテントを見かけた。

でもホントに何もないところ。やはりさっきの感覚は本物だったのだろうか? ここにいると本当に人間界から遠く離れた感じなのだ。きっとソロキャンプの人達もそんな感覚を求めて来たのだろう。

 

無名の景色たち

途中、甲南インター方面へ。

成田牧場近くの空き地に一面の草原。牧草地? 私はだだっ広いところも好きなようだ。思わずフワフワの草に降りてみたくなった。

写真だけ見ると北海道にでも来ているように見えないか? 無理か。

 

 

甲南の集落の中にも川沿いの素敵な桜並木を発見。無名の場所だろうけど、花見客でごった返すような有名な場所の花見は昔から興味ないので、今年のような人の少ない場所の花見が私のスタンダード。これで十分なのだ。というか十分という言葉が申し訳ないほど素晴らしい桜並木だった。

 

鉄道オタク

甲南からは先日の「杣街道」のルートへ。ふと先日はできなかった貴生川での信楽高原鉄道の撮影ができないものかと思い時刻表を確認すると、あと20分ほどで信楽発の車両が通過するみたい。撮影できる場所までの時間も10分程度なので丁度良い。

撮影場所に着くと、畑作業中の人が一人いた。

ちょっと離れたところでカメラを構え、その時を待つ。

菜の花が咲く土手状の線路の上を朱色の車両を通過する、無事そのタイミングでカメラに収めることができた。信楽高原鉄道は非電化路線なので架線がないが、それがごちゃごちゃしてなくて写真的にはいい感じ。これ、中学校以来の撮り鉄かもしれない。

実は子供の頃は鉄道オタクだった。

家から近い鉄橋に夜中にブルートレインを見に行ったり、Nゲージっていう鉄道模型にハマっていたりした。高くってあんまり揃えられなかったので、お金持ちの大きなジオラマを持っている友達のところへ行って走らせたりしていたことも。

また小学生の頃は家から5㎞ほど離れた彦根駅の近江ガチャコンの車両基地は私の大好きな場所で、よく自転車で行っていたものだ。そう言えば自転車で遠くに行くもの好きだったあたり、今も子供の頃から何にも変わっていないのかも…。

 

 

最後は先日の杣街道でも気に入ってしまった杣川に架かる橋。

その時も桜が咲いたらさらに絵になるだろうと思っていたので、もう一度訪れてみたところ先日の景色にしっかりと桜が加わっていた。

今はなかなか出歩きにくい状況が収束しないけど、こんな風に人がいなくても素敵な場所が沢山ある滋賀。そんな場所を探してみるのもこれからの楽しみ方なのかもしれない。

 

 

 

気が付けば100㎞。ちょっと走りすぎか…。

 

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