八風街道の「八風」とは
自転車でめぐる近江の旧街道第8弾は「八風街道」。
近江八幡から八日市・永源寺を抜け、鈴鹿山脈の「八風峠」を越えて三重県の菰野から四日市富田一色へと続く道です。
「八風」ってなんぞや? と思い色々なサイトを調べてみましたが、諸説あるみたい。
わかりやすいところでは鈴鹿越えの中でも急峻な峠である八風越えですが、峠では八方から風が吹きつけて旅人を苦しめるところから「八風」峠となったとか。また1000m級の山々が連なるこの辺りを鈴鹿八峰とも呼ばれており、八峰が訛ったのではという説もそれっぽい。
菰野町の広報ページの歴史こばなしやその他によれば、伊勢風土記という書物に書かれている伊勢を治めていた神様・伊勢津彦(いせつひこ)がヤマトの天日別命(あめのひわけのみこと)に脅されて国を譲ることになったときに、「我は今夜、八風を起こして海の水を吹き波に乗りて東に行かむ」と言ったことに由来するとある。八風の起源はどうもこのあたりのようですな。
で、その八風峠を越える街道ということで「八風街道」と呼ばれています。
八風街道の起点
八風街道の滋賀県側の起点がどこかということなのですが、だいたいは中山道「武佐宿」と説明されてたりする。
ところが、以前朝鮮人街道を走った際に見つけたのが、
ここ。
近江八幡旧市街地を抜け、県道2号線を越えた黒橋町にあります。
朝鮮人街道はここを左手にクネクネと進みながら安土へと向かいますが、八風街道はここを起点に八日市を目指すことになります。つまり近江八幡の商人達はここから伊勢方面へと旅立っていったのですね。
この道標を見つけた時からいつか走ってみようと思いつつ3年以上経ち、先日ついに緊急事態宣言が出されたGW真っ最中ではありますが、一人でソロっと走ってきました。
連発する道標
旧八風街道はこの先にすぐに交通量の多い県道26号に合流します。
いつもの休日なら車が沢山連なっている道ですが今日はガラガラ(コロナの影響で交通量も減っている)。金田跨線橋の手前から住宅街の中へと入ります。
住宅街の中にJR琵琶湖線を潜る地下道の入り口があるので、そこから線路の向こう側へと渡れます。
ここまでは街道らしさも何もないただの住宅街ですが、潜った先から急に旧街道感が…。
集落の中にクネクネと続く細道、道端の地蔵堂、そして…。
極めつけは石の道標。
道が突然旧街道の顔を表したのです。おお、この感じ!
「左 八日市 ひの いせ」とあります。この道は近江八幡周辺の人々にとっての伊勢へ向かうための道なんですね。
もう少し進むと、
ここにも「いせみち」の道標。(写真の自転車の後ろ)
これは元々あったもの? それともこのお家の方のハイセンスなご趣味で設置していただいたのか?
いずれにせよ気分が俄然盛り上がります。
私、こういう小さな発見が楽しくて仕方ないんです。なんか宝物を見つけながら流離うような感覚になるのです。
水の里
突き当りに「水の里 こんごうじ」と書かれた小さな植え込みのスペース。
どの辺が水の里?などと見渡しながら先へと進みます。
ここにもまた大きく目立つ石の道標発見。
八風街道、なかなかやるじゃないか!
と勝手に褒めたたえくなります。期待以上の旧街道感溢れる表情を序盤からガンガンと繰り出してくるので、結構満足していたりする私…。
しばらく行くと、先ほどの「水の里」の意味がわかりました。
大将軍神社の脇に「金剛寺湧水」という湧き水が。
湧き水は今もコンコンと湧き出ておりキレイに整備されています。ちょうど水をペットボトルにに汲んでいるいる人もいます。
池の水は透き通り、近くには小さな水車がまわっているなど大変風情ある場所。滋賀はあちこちにこういった湧き水ポイントが点在する。さすが水の国です。
武佐宿
八風街道はこの先の金剛寺町南の交差点を渡って道なりに右へとカーブ。
その後は田園地帯へ。
ちょうど今の季節、このあたりは小麦が一面にサワサワと広がっています。
なんかこのあたりの景色どこかで見たような…と思っていたら思い出した。秋になったら200万本のコスモスが一面に咲き乱れる県下最大級の野田のコスモス畑の場所でした。というわけで、もし八風街道サイクリングやるなら秋がいいなと企んでおります。
野田のコスモス畑の先で県道26号と交差。その先の集落へと入り、どんつきで直角に左へ。
またまた26号を渡って、野田町くさの根広場の横を通過しながら一筋目を右に入ります。新幹線の高架下を潜り、滋賀スバルの裏手を横目に行くと…、
国道8号線を潜る地下道があります。
その先で、
現在の八風街道である国道421号と斜めに交差。旧街道がぶった切られている様子に一人で悦に入る私…。
旧街道を走っていると、こういった時代の変遷を感じる場所に出くわします。といっても旧街道に興味がない人にとってはなんてことのないただの交差点でしかないのですが、私にはこの斜めのクロス発見が「出た出た!旧街道ぶった切りポイント発見!」と頭の中で叫ぶ瞬間なのです。
あ、たぶん頭は大丈夫ですから心配なさらないでください…。自信ないですけど。
そこから真っ直ぐ進めば中山道とぶつかります。
ちょうどこの辺りが中山道「武佐宿」です。
中山道からの分岐で考えると八風街道の起点はこの交差点ですね。ちゃんと石の道標がありますよ。
ちなみに反対側にも道標があって、織田信長が浄土宗と日蓮宗を論争させた安土宗論の舞台「安土浄厳院」を示しています。
太郎坊で祈願ヒルクライム
この先、八風街道は長光寺の交差点で再び国道421号とクロス。ここからはほぼ国道421号に沿う形で街道は進みます。
市辺駅のあたりからは「布引街道」という街道が分岐しているみたいですが、こいつはまた今度…。
糠塚町のあたりでは一面の蓮華畑が広がっており目を癒してくれます。誰もいないのでこの景色独り占め。
「さいかち地蔵」と名付けられている地蔵堂のところは国道から一筋脇へ入った道。
おそらく地蔵堂などは旧道沿いにあっただろうから、こちらが古い道かな。
小脇町の交差点の手前に私の大好きな酒蔵が。
「大治郎」を醸す畑酒造さんがあります。
街道と酒蔵はもうセットみたいなもの。あと和菓子もね。
私の好きな街道サイクリングは、お土産に街道沿いの和菓子屋のお菓子と酒蔵の地酒を晩酌に持って帰るもの。
家族にはお菓子、で自分には地酒。その日の小さな旅の思い出に浸りつつ一杯。これが大好きなのです。なのでダイエットとはかなり縁遠いサイクリストですな。
街道沿いから太郎坊が見えます。そのまま通り過ぎようかとも思いましたが、ここは「コロナに勝つ!」の願掛けの意味でも登っておくか、と寄り道しました。
鳥居の先から短いですが結構なパンチのある坂。
天気もよかったので汗ふきだしながらヒイーヒイー登りました。
なんかわからんけど、登り切ったことで勝った気まんまんになったところで、
勝利の太郎坊からの展望と、空に元気に泳ぐ鯉のぼりがさらに気分をアゲてくれました!
たった一人のサイクリングだけども、今日は最高のコースセッティングだなあと自画自賛です。
八日市・親玉本店
レトロな駅舎の新八日市駅までくると本日のゴールは目の前。
東海道の土山宿から日野を経由し、中山道の愛知川宿へと繋がる「御代参街道」との交差点が本日の目的地。
八日市で最もメジャーな道標の前にたどり着きました。
そしてここには和菓子屋さんが! 創業から123年続く老舗「親玉本店」さんです。
ガラスケースに並んだお菓子たち。きな粉がいっぱいまぶされた草餅が食べたかったのですが直前で売り切れ…。子供の日ということで「柏餅」をテイクアウトしました。ってこの店は普段からテイクアウトのみですけどね。
もうすっかりアラフィフですが、子供の日には柏餅が食べたくなるもんですね。柏葉の香りと瑞々しいアンコが美味しい柏餅でした。ごちそうさまでした!
八風街道はここから永源寺へと向かい、いよいよ峠編へ。
この先はよほど気力に溢れて気が向いて時間がたっぷりある時に是非行ってみたい。
ちなみに石榑トンネル手前からは旧街道は完全に未舗装どころか山登りのトレイルコースとなるみたい。まあ、それはそれは楽しみ…。
じゃあ、四日市でトンテキか、桑名でハマグリ食べて一泊するプランとかで考えようかな。誰かお付き合いしてくれへんかな?
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