自転車の魅力を再確認
自転車って不思議な乗り物です。
サイクリングや自転車のイベントでの出会いはもちろん、さらにはサイクリストだということだけで仲良くなったりします。
ふと立ち寄ったコンビニでの初対面同士の談笑なんてよくある光景。
私も今年はたくさんの方々と繋がっていただきました。
繋がったと書いたのは出会った方々とはSNS(主にFacebook)で互いを登録しあうから。
SNSがなければ初めて会って名前を聞いても何日か交流がないと忘れちゃったりしますが、便利なものでSNSがあることで交流がない間もやりとりができちゃうんですよね。
その間に繋がった方々の普段の活動なんかもある程度わかりますし、名前も忘れないでおけるし。
次に会ったときには、久々感を感じないくらい互いの離れていた時間をSNSが見事に埋めてくれているのです。
で、一緒にどこかサイクリングでもいきましょうか?とか、先日SNSで紹介されていたお店に連れて行ってくださいよとか、会ってまだ2~3回にも関わらず言えたりするんですよね・・・。
ということもあってかなぜかサイクリストはFacebook率は高い気がします。
と、タイトルとは関係のない話で始めましたが、要は自転車を始めて様々な「ご縁」をいただいたということを言いたかったのです。
そんな自転車で繋がったご縁から、先日サイクリングにご一緒させていただいたことを今回は書きます。
初めての本格サイクリングへのアテンド依頼
私ですが会社で、とあるプロジェクトに関わらせていただいております。
そのプロジェクトにシステム開発の担当者として親会社から来ていただいていたのがMさん。
たまたまなのですが飲み会でご一緒することになり、自転車の話題になった時にMさんから「ビワイチに興味あるんです!」と告げられたんです。
「じゃあ、是非ご案内しますよ」と私も軽くノリで答えました。(この時点ではそんなに本気だとは受け止めてませんでしたが・・)
一応スポーツバイクの経験とか1回に走った最長距離とかお聞きしたところ、普段はママチャリとのこと。また最長距離も40㎞くらいというお話だったので、いきなりのビワイチは(1日では)厳しいなと判断し、「南湖一周(40㎞)」をお勧めしておきました。
その後(お酒の入っていないときに)改めてMさんから是非行きたいとのお話をいただいたので、それならと本格的に計画を始めることにしたのです。
せっかくなので滋賀の観光も兼ねてゆっくり回ってもらおうと「近江八景」の要素も入れつつ、距離も南郷洗堰まで伸ばした60㎞コースに。
そのコースがこちらです。
自転車は守山市の美崎公園にあるレンタサイクル(スコットのディスクブレーキ付シクロクロスなんです!しかも1日500円)を借りて頂きました。
ここのレンタサイクルにはヘルメットやワイヤーロックもセットで付いていて、初心者の方でも安心なんです。
当初寒くなる前の10月頭に決行予定だったのですが、今年は台風やら秋雨前線が全国的に多大な影響を及ぼしていたこともあり、その日も結局延期にすることに…
それが功を奏したのか、改めて設定した11月中旬のその日はまさに紅葉シーズン。
南湖周辺は史跡や観光スポットも多く、秋の風情を感じながらサイクリング出来る絶好の機会到来です。
近江八景サイクリングに出発!
さて今回のメンバーですが、なんとMさんは奥様のK子さんとご一緒に参加です。そこへ歴史の師匠S先生、ビーモで仲良くさせて頂いている守山のSさん、そして会社の後輩M君の計6名。
なんともバラエティー豊かな賑やかメンバーになりました。もちろんMさん夫妻と他のメンバーは初対面同士という状況。
しかしサイクリストはそんなことは気にしません。
集合場所の美崎公園に集まれば、お互い自己紹介しあって本日のサイクリングチームの結成です。
ひとまず今回は私がアテンドさせて頂くということで、スポーツサイクル初心者のMさん夫妻に手信号などのサイクリング上の注意点を説明。その後軽く準備体操してからコースの説明をさせていただきました。
走る順番は私が先頭、直後にMさん夫妻、後ろには経験者の3名という体制。
朝方は若干曇り空で肌寒い日でしたが、さっそくスタート!
まずは守山の「サイクリストの聖地」にて出発前の記念撮影。
写真には写っていませんが、先日の台風21号でサイクリストの聖地の周囲も多くの松が倒れ大変痛々しい爪痕が残っていました。
そんなところも感じてもらいながら一路草津へ向けて南湖の東側を南下します。
琵琶湖大橋から瀬田の唐橋までは幅の広めの歩道があるので、初心者の方やお子様連れの方は安心なルート。
ただし途中に数か所車止めが設置されているので、ぶつからないように注意が必要です。
今回も手信号でしっかり合図を出して後続に伝えました。
またランナーや対向自転車もありますので、早めに避けるとか止まって道を譲るなんてことも必要です。
そうこうしていると烏丸半島に到着!
慣れないうちはロードの前傾姿勢は結構きついので早めの休憩を入れないとね。
ここ烏丸半島には「カフェイントロ」というお洒落なカフェがあり、サイクルスタンドも設置されサイクリングの休憩にはもってこい。
すぐ近くに公衆トイレもあり。
交差点を挟んで向かい側も「道の駅くさつ」なので、お好みで・・・。
ちなみに道の駅にもサイクルスタンドは設置されていますよ。
しかしこの日は結構気温が低い・・・あんまり休憩しすぎるとせっかく温まった体が冷えるので、そこそこで出発します。
まずは近江八景の最初のポイント「矢橋の帰帆」の景勝地、「旧矢橋港跡」へ。
ここは見ての通りのタダの公園になってしまっており、景勝地と言われたのも今は昔・・・。
在りし日を偲ぶことができるように、かつての港の石積み桟橋が再現されているのみ。
公園の向こう側には琵琶湖を埋め立てて造った人工島「矢橋帰帆島」。近江八景の移り変わりを感じる場所となっています。
一応ガイドとして「急がば回れ」のくだりもお話させていただきました。
※急がば回れという諺の由来は、「武士(もののふ)の やばせの船は はやくとも いそがば廻(まわ)れ せたのながはし」という江戸時代の歌から。矢橋からの航路は時に比叡山から吹き降ろす風によって船が出航できなかったり転覆することも多く、ならば遠回りして瀬田川を渡った方が結果的には早いと言われた
ちょっとした社会科のお勉強のような矢橋からは、ちょこっとだけ旧街道の一つ「矢橋道」を通ってここを後にします。
矢橋道はその名の通り矢橋の港から東海道の草津宿を繋ぐ旧道。今は途中がJRの線路などで途切れていますが、東海道との分岐点には現在も道標があります。
途中のおトイレタイムに立ち寄ったところで、守山のSさんからとっても嬉しい差し入れが!
守山の旧中山道沿いにある和菓子屋「鶴屋吉正」さんのフルーツ大福を頂きました。
以前、娘とこのお店を目指して往復30㎞ほどサイクリングしたのですが、閉店中で食べられなかったんです。(娘は大泣き・・・)
そんなことをFacebookに書いてたら、守山Sさんが気にしてくださってこの度メンバー分含めて持ってきていただいたのです。
これは嬉しかったァ‼ しかもお餅がふわふわもっちりで大変美味しい。
ということで大の大人が大勢コンビニ前で大福に食らいついているというのもサイクリングではよくある光景。
Mさん夫妻もあまりそんなの気にしていない様子なのでサイクリストの素質は十分ですね。
そして近江八景の2つ目ポイント、急がば回れの瀬田の「唐橋」へ。近江八景では「瀬田の夕照」の浮世絵に描かれています。
ここは瀬田川沿いの遊歩道が始まる橋のたもと。
まわりの木々もいい感じに色づいてさっきよりかは景勝地っぽくなったかな。
橋を見ながらS先生のチョコっと解説が入ります。勉強になります!
ここでも橋をバックに集合写真。
さて本来の南湖一周はこの唐橋を渡ります。実は琵琶湖は唐橋の少し北にあるJRの線路あたりまでなんです。
なので唐橋あたりは琵琶湖ではなく「瀬田川」なんです。
しかしこの季節は唐橋から洗堰までの景色もおすすめ!
洗堰で西側へ渡り、おそらく見頃を迎えたであろう石山寺の紅葉で目を癒した後にお昼ごはんという目論見です。
遊歩道は瀬田川の水面ギリギリにあり、鏡のような瀬田川の穏やかな流れに両岸の色づいた木々が移り込む様子が大変美しく、ゆっくり風景を感じながらサイクリングできます。
対岸の一角に非常に紅葉の綺麗な場所があるなあと思ったら、それが石山寺。
思惑通り絶好の見頃を迎えていそうです。
さて、遊歩道をドンツキまで行くとその先が「南郷洗堰」です。
そのままいくと洗堰の管理施設の敷地へ入っていくのですが、その先に水のめぐみ館「アクア琵琶」という水環境について学べる施設があります。
アクア琵琶の前から伸びる突堤が明治時代に作られた「旧洗堰」の史跡。
ここでも一旦休憩。石山寺は目の前ですけどね・・・。
この洗堰では毎月第4土曜日にだけ「洗堰レトロカフェ」なるものが現れます!
天気のいい日なら堰から流れ落ちる瀬田川の水の音を聞きながらコーヒーなんて素敵です。私はまだタイミングがあわずカフェに入ったことないですけどね。
やや増水気味の瀬田川が轟々と流れ落ちる洗堰を渡り、いよいよ西岸へ。
反対側にも遊歩道は続きます。
今度は今まで走ってきた東岸を横目に、目指すはお昼ごはんポイントの石山寺。
ここで瀬田の名物「志じみ釜飯」を頂くというプラン。志じみ釜飯は注文してから炊き上げるため15分ほど時間がかかってしまいます。
で、先に注文しておいて待ち時間の間に石山寺の大門から続く参道の紅葉を楽しもうと考えてました。
石山寺の真ん前までは遊歩道を進み、そこから一段高い車道へと出ます。
ここでようやく目の前に石山寺の大門が目に飛び込んで・・・。
その奥には真っ赤に色づく紅葉。自然と気分が盛り上がってきます。
まずは自転車を止めて、大事な自転車が取られないようにフェンスのところに立てかけてワイヤーロックで括り付けます。
(このことが後でちょっとした出来事につながるとは露知らず・・・)
しばしゆっくりと紅葉狩りへ!
近江八景では「石山の秋月」として知られています。
今回は昼間ではありますが、そんなことは関係ありませんね。いろいろ綺麗すぎて皆さん写真を思い思いに撮りまくっています!
Sさん自慢のデジタル一眼が登場したり、Mくんも買ったばかりのiPhone10でこだわりのアングルを探しています。
やはりここは集合しましょ!ということで、
この景色に皆さんご満悦の様子・・・いやー、ここまでは我ながら問題なし!
実はこの時、ちょっとした暗雲が立ち込めてきているのでした・・・(天気ではない)
これぞサイクリング!?
「あれぇっ、ない・・・」とMさん。
「どうしました?」と皆。
「いやあ、鍵が見当たらない・・・・、ポケットにたしか・・・」
「鍵って、自転車の?」
「そうそう、どこかで落としたかも・・」
どうもワイヤーロックのカギを無くされたみたいです。
Mさんは唐橋のところで集合写真を撮る時にカメラの高さ調整に鍵を下に敷いたから、そこに忘れたかもと仰っていましたが、
石山寺で鍵をかけているのでおそらく無くなったとしたらこの周辺だろうと、みんなで一斉捜索を開始!
Mさんは顔面蒼白、「私はここでリタイアするので皆さんで先に進んでください」っていうほど責任を感じておられる様子・・・。
いやいや、今日の主役はMさん夫妻、置いて行けるわけがありません!
「何を仰いますか!サイクリングっていうのはこういうトラブルも含めて楽しむものなんです!」って経験者の皆さん。
そう、車や電車で行く旅と自転車の旅の大きな違いはそこなんです。これを面倒と取るか、楽しめるかが自転車を好きになれるかどうかなんですね。
普段のサイクリングでもパンクなんかは日常茶飯事ですし、そうなったら皆で道具やパーツを持ち寄って助け合ったりするのもよくある光景。
知らない通りすがりのサイクリストでも止まって、助けてくれることもよくあります。
そういう方がサイクリストには多いので、私もここまで自転車にハマったのかもしれません。
志じみ釜飯
付近の観光案内所やチケット売り場に鍵の事を伝えておいてから、ひとまずお昼ごはんに。
やっぱ腹が減っては〇〇〇です。
席を予約していた石山寺前の「志じみ茶屋 湖舟(こしゅう)」さんへ。
ここでは熱々出来立ての「志じみ釜飯」と滋賀県名産の赤コンニャクやスジエビなどのおばんざいが楽しめます。
私は「志じみ釜飯カレー」を注文。
志じみ釜飯のご飯をお皿に半分だけ取り野菜などの具を乗せたら、まずはルーを半分だけ掛けて普通に食べます。その後残った釜飯に半分残したルーを掛け軽く混ぜ合わせ、トッピングのチーズを掛けたら店員さんを呼ぶというちょっと変わったカレーなんです。
店員さんがそれを一旦厨房に持ち帰り、再び持ってきてくださいます。
蓋を開けると、
溶けたチーズが食欲をそそる絶品志じみ釜飯チーズカレーが・・・。
私ビジュアル的にもこういうのに弱いのでたまりません!
偶然の産物
食事の間はしばし鍵の事は忘れて皆さん交流を深めていただいていました。(Mさんはそれどころではない心持だったかもしれませんが・・・)
そうこうしていると湖舟さんに観光案内所から電話がかかってきたと店の方が教えてくれます。
「おお、みつかったんちゃう?」「よかったねえ・・・」と早くも安堵の雰囲気に!
・・・が、早合点でした。
「観光案内所から連絡があって、いろいろ周辺に連絡したけど鍵はないですって」と店員さん。
ああ、そうでしたか・・・ご丁寧に連絡いただき大変ありがたいのですが、完全に糠喜び状態・・・。
もう仕方ない、観光案内所でペンチを借りてワイヤーを切っちゃおうということに。
その前に一応自転車を借りた美崎公園に連絡して相談したところ、なんと今からスペアキーをもって石山寺に来てくださると!
ただし1時間くらいかかるからちょっとそのあたりで待っていてくれとのこと。
まさに捨てる神あれば拾う神あり!
ということで、1時間というフリータイムができました。
運のいいことにここは紅葉の名刹「石山寺」。1時間もあればたっぷりと境内を見て回れます。
そう考えるとこれも何かの縁ですね。さっそく皆で拝観料払って境内に入ることにしました。
今まで近くに居ながら、しかも地球の歩き方滋賀特派員でもある私、石山寺に入ったことなかったんです。これが石山と言われる所以。まさに石の上に立つ多宝塔。ダイナミックな岩の造形が美しい!
(あーーーーっ、ここは西国三十三霊場だったァーーー、御朱印帳忘れた。)
まあ、そんなことはどうでもいいんです。
どこまでも見ごたえだらけの石山寺の境内。思わずMさんありがとうと思ってしまいました。(不謹慎ですね)
これが噂の石山寺の「紫式部」。ここで紫式部は源氏物語を書いたとの言い伝えがありますが、そういう絵になる雰囲気がここにはありますね。
試練の後半戦!
さて、一通り見て回った頃に美崎公園の方が到着。
スペアキーで鍵を外してくれたあとすぐに、颯爽と帰っていかれました。
「17時までに返しにきてや」との一言を残して・・・
っておい!17時ってあと2時間しかないけど!
ちなみに石山寺まで30㎞を3時間くらいかけて来たのに、同じくここから美崎公園までは30㎞ありますが。
ということで後半戦のコースを大幅に修正、ある程度スピードの出せるコースにしてペースアップという作戦に。
ここからS先生がの鬼引きが始まりました!
湖西側には東と違って、ちょっとしたアップダウンもあり、Mさん夫妻も午前中に経験していないようなペースに息切れ気味。
「こりゃ、痩せそう・・・」と後半戦は自転車のスポーツとしての魅力も感じていただけた!?ようです。
頑張って漕いできたこともあり、まだ完全に日が落ちる寸前に琵琶湖大橋が見えてきた!
さあ、ここが最後の難関ヒルクライム!
K子さん、なかなかパワフルなペダリングで登り切ります!
MさんもS先生の励ましの元、最後の力を振り絞ります。
そして琵琶湖大橋のてっぺんへ!
途中のポイントは飛ばしましたが、最後は近江八景の一つ「比良の暮雪」の比良山の山並みを琵琶湖大橋から望みます。
暗くなる前に着いてよかったあ。
皆さん、暮れゆく琵琶湖を見ながら今日の振り返りタイム・・・。
って、あのーー皆さん、時間制限あるの忘れてません??
ということで、本日最後の集合写真!
無事、時間ちょっとオーバーでしたが、美崎公園にたどり着くことができました。
今回のサイクリング、後半にいろいろスイーツ処などを組み込んでいましたが、それはまたのお楽しみということで・・・。
まずは安全に帰ってこれたことを喜ぼう。
私にとっても家族以外の初心者の方をアテンドするのは初めての経験。
自分の案内で自転車のことを好きになってもらえたり、滋賀に愛着を持ってもらえたらいいのですが、逆に嫌いになってしまったらいけない・・・と気合を入れて臨みました。
結果、若干トラブルはあったものの、それはそれでいい思い出になったかな?
最後の琵琶湖大橋でのM夫妻の笑顔を見る限り成功だったかなと思います。
後日、守山に再び来ていただき、守山市のゆるキャラ「もーりー」のぬいぐるみを買って帰られたとか。またK子さんは、なんとMERIDAのロードバイクをご購入。
こりゃ、Funazushi-maruツーリストとしては責任を取って、これからもっといろいろご案内しないといけませんね。
とりあえず次は、今回寄れなかったみたらし団子や堅田のスイーツスポット巡りだな。
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