神開水酛壱号
八日市のお酒屋さん「志賀熊」さんでちょっと変わったお酒を発見しました。
普段見かける神開とは雰囲気の違う水色の透明瓶にアンティークなラベルという出立ち。
それに聞き慣れない言葉たち…。
水酛? そやし水?
これを見た瞬間、私の探究心に火がついてしまった。ここで出会ったのも何かのご縁、買って帰るべし!
裏貼を見ます。
酒母に「水酛」とある。そこから下へと目を向けると…。
…日本酒度 =30 の文字!
あ、甘そう…
最近の藤本酒造さんは色々挑戦的なお酒を出していらっしゃるそうで、実はこの少し前にも「神開水酛零号」をいうお酒を出していたそう。それが評判が良かったらしく、改めて水酛で仕込まれたのがこの壱号なんだとか。
零号は未経験なのでどんなだったのか知りませんが、荒削りだった零号に対して落ち着いた感じになったと他のサイトに書かれていました。
お味は、スペック通りの甘酸っぱさ。パイナップルのシロップを思わせるとてもフルーティーな飲み口ですが、私にはちょっと濃厚すぎる感じ。
なので小さめの冷酒グラスに氷を2つほど入れていただくと丁度良くなりました。
まあ、そんな感じのお酒なのでアテは選ぶお酒ですね。私はアテなしで飲んじゃいましたが。
水酛とは?
ところで肝心の「水酛」って何なんだってことですよ。
調べてみると、酒母(日本酒を大量に作る前に小さなタンクで発酵させるお酒のもと)造りの際に使われる乳酸菌の取り込み方に違いがあるようです。
乳酸菌の役割を簡単に説明すると、
酒母内の雑菌増殖を防ぐため
です。乳酸菌はとても繁殖力の強い菌ですので、この菌が酒母内に広がることで他の菌の入る余地が無くなっていくことになるんですね。
主な乳酸菌の取り込み方ですが、仕込み水と麹米と蒸し米の入った酒母タンクに、
- 直接乳酸菌を添加する(速醸酛)
- 空気中の乳酸菌を自然に取り込む(生酛…山おろしという工程を省いたものは山廃と言います)
と、大きく分けて二つあります。
ところが、この「水酛」は事前に水と蒸し米によって先に乳酸菌を繁殖させた仕込み水=「そやし水」を使うというもの。
日本酒発祥の地と言われる奈良県の「菩提酛」というのもこのような作り方らしい。
この独特の酸味はそのあたりの乳酸菌の取り込み方に由来するのか。では甘味は?
アルコールっていうのは酵母菌が糖を分解することで得られるもの。なのでアルコール発酵が進むと、糖がなくなっていき辛口になる。という仕組み。乳酸菌の取り込み方だけでは強い甘味に繋がるとは思えない。
はたして、なにかもう一工夫あるような気がします。
日本酒って水と米、それに麹菌と乳酸菌と酵母菌、たったこれだけの大変シンプルな材料にも関わらず、多種多様な製法と風味を生み出すとても不思議な飲み物なのです。というわけで、変わった西方のお酒を見るとつい買ってしまう。
藤本酒造さんの挑戦、今後も楽しみですね!
水酛のお酒、一度飲んでみたらきっとあなたの日本酒観が大きく変わると思いますよ。
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