シコイチ(四国一周サイクリング)チャレンジ:2日目

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うみがめの大浜海岸

初めての野宿の朝…、といってもまだ午前3時。

昨晩はなかなかに涼しく野宿は快適だった。蚊もいなかったし…。でも小心者の私はオヤジ狩りに会うのではないかと気が気ではなく、結局深い眠りにつくことはなかった。

最近ガーミンのGPSウォッチを買ったので、この旅にも装着してきたのだが、睡眠中の心拍の状況から眠りの深さを測定してくれる優れものだ。

ガーミンコネクトの睡眠状態の画面

これによると、普段は就寝後1時間程度で深い眠りの時間が発生するのだが、この日は一度も深い眠りに落ちることなく朝を迎えている。どんだけ小心者なんだよ、オレ。IT技術はそんなところまで丸裸にしてしまうのだった。

昨日は高松から日和佐までの152㎞。計画では宍喰まで行く予定だったのだから、その分今日は頑張らないといけない。

日の出前に荷物をまとめ出発。この自由度は野宿ならではである。日和佐は田舎にも関わらず、コンビニは24時間営業。よほど夜中の利用者がいるのか…。おそらく数年後には24時間営業の店舗はほとんど無人化されるのだろうなあ…。昨今の流れを思うと、こういうときは24時間のコンビニの存在はありがたい。サンドイッチとコーヒーを、イートインコーナーでいただく。

薬王寺の仁王門

「薬王寺」は一晩中ライトアップされているのか、朝方でも荘厳な雰囲気を醸し出している。

日和佐がウミガメの産卵地である大浜海岸に近いということがスマホで調べてわかっていた。ウミガメの産卵はちょうど5月~8月。もしかしたら見れるかもと思い、せっかく近いので行ってみることにした。

大浜海岸前にて

大荒れの海…これではウミガメというよりガメラが出てきそう

だーれもいない海、ウミガメの産卵を確かめたくって~。

と言うことで、真っ暗な海は台風の影響がすでに出始めている様子。暗闇の中にドドーンっと不気味な波音だけが響き渡っている。うっすら浮かび上がる白波の高さが荒れた海の様子を物語っていた。これではさすがにウミガメの産卵はないだろう。一応、砂浜に自転車のライトを外して懐中電灯のように向けてみたが、長居は無用と早々に立ち去った。

南阿波サンラインへ

まだ日の出までは30分程度はあるか。一路、南阿波サンラインへ向かう。

今日は朝っぱらからヒルクライム…、気が重いがまだ2日目で弱音を吐いている場合ではない。

南阿波サンラインの標識がでて国道55号とお別れすると、さっそくいきなりの斜度10%の洗礼が…。

この南阿波サンライン、全長は18㎞もあり、途中に展望台が4箇所あるのだ。展望台が4箇所…、車の人なら何も感じないだろうが、サイクリストは敏感に反応する。おいおい、少なくとも4箇所もピークがあるってことでしょ?

この日はありがたいことに薄雲りの天気。正直もうしばらくは青空はいらない。いっそ雨でも降ってほしいくらいである。曇りの日の出前にも関わらず、汗だくになりながら第1展望台に辿りついた。

第1展望台:空が色づき始める。日の出が見えるとやる気が出るのだが…

まだ余裕の自撮り

どの坂も斜度はそこそこあるものの短いのが助かる。テンポの良いアップダウンというべきか。おかげで思ったほどヘロヘロにならずに1つ目の展望台をクリア。続いて2つ目、3つ目と越えていく。

神々しい光が水平線に注がれて…

ちょうど3つ目の展望台あたりで日の出を迎えた。眼下の海はかなり荒れているようだ。遠く水平線が見渡せるところも含め、瀬戸内とは違う外海の荒々しさがそこにはあった。それとこの光景はアイツ(台風10号)があの向こうに迫っていることも十分に感じさせるものだ。

今回この台風10号と、どう対峙するかがサイクリングの行方を左右する。ある意味今回のライバルである10号を親しみも込めて、台風「イチマル号」と呼ぶことにした。

南阿波サンライン、ようやく終了

4つ目の展望台もクリアし、蝉が鳴き木々の生い茂る道を下っていく。ずっと下りだといいのに…。

昨晩こんな道を真っ暗な中、足元から聞こえる海鳴りを聞きながら走ることになっていたら、私は間違いなく泣きながら走っていたと自信を持って言える。ここはオーシャンビューを見れる時間帯に来るべき場所なのだ。

つい最近、Facebookでお友達になったブロガーの輪々さんから、

「これから、南阿波サンラインですね。きついので、予め水分補給しておいた方が良いですよ。確かに、コンビニも自動販売機もなかったらですから!」

と、前日コメントいただいたのが助かった。これで昨日は日和佐より先にいかないという判断になったのだ。一人旅でもFacebookがあることで、様々な励ましやアドバイスがいただけるのがありがたい!

サーファーの聖地

たくさんのテッポウユリが咲く線路沿い

宍喰の1つ先「甲浦」までは鉄道が走っている。JR牟岐線の阿波海南駅、いかにもなローカル線の無人駅だ。ちょっとだけ休憩がてらホームに立ってみたら、線路わきにはたくさんのテッポウユリが咲いていた。そういえばさっきから走っている道路沿いにもテッポウユリがあちこちに咲いている。そういったその土地の自然や風景に気づくのも自転車の良さである。

屈指のサーフポイントの宍喰

牟岐から宍喰までは海岸沿いの国道55号線を進むことになる。大きなうねりを伴った波が、霧のように飛沫を上げながら、ドーンドーンと海岸にぶつかっている。宍喰のあたりは屈指のサーフポイントのようで、結構サーフィン目的と思われる人が砂浜やコンビニにいる。ただ、まさかこんな津波の押し迫るような海に挑むやつはいないだろうと思ったが、よく見ると白波の中に果敢に漕ぎだす人もいるではないか…。奇特な人たちである。

道の駅 宍喰温泉

道の駅宍喰温泉にようやくたどり着いた。

ここは道の駅に「ホテルリビエラししくい」というリゾートホテルがあり、温泉施設は日帰りでも利用可能。朝から一汗かいたし、昨晩は風呂に入っていないのでめっちゃ温泉入りたかったが、今からまだまだ汗だくになるのに呑気に入っている場合ではない。ここまでの道中でも道の駅に足湯などがあったりするのだが、縁が無いようだ。

室戸岬と空海

甲浦を過ぎると鉄道も無くなり、この先70㎞近くは何かあっても輪行はできない。あとはひたすら室戸岬まで40㎞ほど海岸線を走る。太平洋側へ回り込み、より台風へ向かって進むことになるので風の方向が気になったが、うれしいことにやや追い風気味に吹いている。台風の風はご存知の通り渦を描いて吹くので、今の時点では日本列島から太平洋沖へと引き込むような風の流れとなっていたのだ。おかげで30㎞以上の巡航速度を保ちながら、室戸岬までガンガン走れた。

夫婦岩

むろと廃校水族館

まるで東映のオープニング映像のような景色

夫婦岩から先は、徐々に観光施設っぽいところが増えてくる。荒々しい奇岩が続く光景は岬が近づいてきたことを教えてくれ、世界ジオパークとして登録された景観は見ごたえがある。このあたりからやたらと「室戸海洋深層水」の文字があちこちに目立ってくる。沿道には海洋深層水の工場も立ち並び、海洋深層水が大きなビジネスになっているであろうことが窺い知れる。

来影寺に立つ、巨大な青年大師像

弘法大使が修行したと言われる「御厨人窟・神明窟」

室戸岬は若き日の弘法大使が修行を行った場所らしい。岬の先端まで1㎞弱のところには弘法大使縁の場所がいくつかあった。「御厨人窟」は海岸の浸食でできた洞窟だが、ここで修行した弘法大使は開眼し、その時見えた空と海ばかりの景色に自らを「空海」と名乗るようになったそうだ。讃岐の地で生まれ、室戸で修行した弘法大使・空海、四国を巡ると自然と空海の生涯を追体験しているような気がする。

青空と潮風と…暑さとの戦い

追い風で思っていた以上に快調に走ることができたため、余裕を持って岬の先端まで到着。

室戸岬の先端に到着

中岡慎太郎像、桂浜の龍馬とともに、海の向こうを見つめて立っている

余裕があるので室戸岬の灯台に寄ってみるかとも思ったが、徒歩で片道20分くらいかかるというのでやめた。それよりも午前中の雲がどっかに行って、この頃にはカンカン照りの青天が広がりクラクラくるような暑さである。あまりじっとしてられないので、写真もそこそこに先を急ぐことにした。次の道の駅「キラメッセ室戸」まではあと少しだ。

しかし、その10㎞程度が耐えられない。冷たい水を買ってもアッとゆう間にぬるま湯となり、大して身体を冷やす役には立たない。思わず目に止まった室戸市街のデイリーヤマザキへ飛び込んだ。

室戸海洋深層水を使ったとあるかき氷、めっちゃ旨かった!

関西ではあまり見たことないが、袋入りの無色の白いかき氷があったので買ってみた。これがその時の私の中ではガリガリ君をはるかに凌駕する美味しさだった。しかも室戸の海洋深層水を使用とも書いてある。シンプルイズベスト、素朴な甘さが冷たさと共に身体に染みわたり生き返った。

この時感じたのは、ある程度体の中も冷やさないといけないということ。水分を採るのはもちろんのこと、必要以上に体温が上がりすぎないようにするには、自分の体温調節機能だけに頼るのではなく、冷たいものを採ることで内臓も冷やすのが有効のようだ。もちろんお腹を壊さない程度ではあるが…。

ちょっと体も回復したので、改めて道の駅を目指す。

キラメッセ室戸にて…

キラメッセ室戸にはレストランや、鯨館、産直市場があり、お昼時ということもあって車や人でごった返している。意外と道の駅の室内には、レストラン以外にに座って涼む休憩場所が少なかったりする。が、私はエアコンの効いた休憩場所が欲しいのだ。優雅にお買い物しに来た訳ではない。結局、あまりゆっくり出来ずに後にするしかなかった。

しかしこの暑さのせいか、ほとんどサイクリストに出会わない。道の駅でのシコイチサイクリストとの交流なんかも想定していたが、スタートしてから230km程走っているにも関わらず、前日に日和佐の手前で会った人くらいだ。

と思ったら、キラメッセにクロモリロードで一人のサイクリストがやって来た。彼も汗だくで死にそうな顔をしている。聞くと、この先の奈半利からスタートして、山中を東洋町方面に抜け、そこからまた奈半利へ帰る途中らしい。彼はシコイチ組ではなく地元ライダーということだろう。やはりこんな時期にシコイチしていることがかなり奇特なのだ。

キラメッセ室戸から3㎞程度進んだところに、「吉良川」という集落がある。

水切り瓦のある蔵が並ぶ、吉良川の町並み

吉良川はかつて土佐備長炭の積出港として栄えた町らしい。雰囲気のある白い漆喰壁の蔵が並ぶが、独特なのは壁に小さな屋根のような瓦が付いているところ。「水切り瓦」というらしい。台風銀座と言われるほど、台風と古くから付き合ってきた地域ならではの工夫が、この水切り瓦なのだ。

道の駅「田野駅屋」の田野いしん君

道の駅田野駅屋に着いた。

日和佐もそうだが、鉄道の駅に併設する形の道の駅である。どっちかにしろよと言いたいが、まあいい。ここもタダでは涼ませてくれないので、「冷やしうどん」を仕方なく頂いた。田野のゆるきゃら「いしん君」の爽やかな笑顔に対して私が仏頂面になってしまっているのは、そのあたりの不満が出てしまっている…のかもしれない。

道の駅 やす の龍馬像

ただひたすらに暑い…意識もこの頃は朦朧としながら、とにかくペタルを漕いで前に進むだけだった。千里の道も一歩から…この旅を始めてから常に頭で唱えた言葉である。とにかく漕ぎ続ければ必ずいつかは着くのだ。

道の駅「やす」も土佐くろしお鉄道「ごめんなはり線」の夜須駅に隣接している。こうも道の駅が鉄道の駅に隣接してると、

「おい、もうそろそろ疲れただろ?いつでもリタイアできるよ!」

と言われてるかのようだ。

まだ台風イチマル号は太平洋の遥か彼方から、ままチャリ並の速度で私の旅と歩調を合わせてくれている。リタイア? は? である。

桂浜とよさこい祭り

高知市街中心まであと25km。太陽が西に傾くこの時間帯が最も暑さが厳しい…。暑さで汗が常に吹き出るのもあるが、今日のコースでは日中ずっと潮風を浴び続けたので全身ベトベトである。さすがに野宿はもうヤダ。急遽、高知市内のビジネスホテルをネットで予約した。

桂浜の文字が道路案内板に現れるようになった。推奨コースから少し寄り道で行けるようだ。桂浜自体は何回も訪れているが自転車で行ったことはない。せっかく高知に自転車で来たのだから、ここは龍馬さんにご挨拶しておこう。

ということで、桂浜へ寄り道。が、この安易な考えがこの日の試練を増やすことになってしまった…

県道14号から桂浜にアクセスするには、浦戸大橋を渡らねばならない。しかしこの浦戸大橋、車道は車一台分程度の狭さに、歩道も人一人分のものがある程度。しかもガッツリ登っている。これ作った人は自転車で来るヤツなんて完全に想定してないだろうな…

日没間近の時間帯でも沢山の車が桂浜へ向かうなか、車に迷惑かけないように必死に自転車で登った。これだけで龍馬が嫌いになりそうだ。その先も降りて登って降りてを繰り返し、ヘロヘロになりながら桂浜に到着。もちろんこんなところに他のサイクリストはいない。もう2度と自転車では来ないだろう。

龍馬さん、あの橋なんとかしてほしいぜよ。

浦戸大橋と夕日。遠くから見る分にはいい橋だが…

実は桂浜、西側からだと浦戸大橋を渡らなくてもアクセス出来たのだった。まぁ今さらなので、帰りはそちらから高知市中心部を目指す。

もうすっかり真っ暗。「はりまや橋」と書かれた道路案内板にしたがって進む。

土佐に来たら「ひろめ市場」だよと、最近サイクリングでお友達になった高知出身のKさんから教えていただいてたので、今晩の宿はそこから近い場所を選らんだ。

ホテルに近づくと、なにやらえらく賑やかというか騒がしい雰囲気。

よさこい祭りの本番で大にぎわいの高知市内

なんと今晩は「よさこい祭り」の開催日だったのだ。えらいときに来てしまった。と言うか、よくこんな日にホテルが取れたもんである。

あちこちに色とりどりの法被や衣装を揃えたグループが闊歩している。こりゃ飯食うのも一苦労しそうだ。とりあえずホテルにチェックインし、風呂に入ってから出かけてみた。

ひろめ市場も大混雑…

「ひろめ市場」に行ってみたが、祭りを終えた踊り子さんのグループが大挙押し寄せており、打ち上げなのだろうが大いに盛り上がっている様子。こりゃ、落ち着いて飲める隙間もないなあ…。

今夜はホテルで一人飲み…

ということで、閉店間際で大サービスしてくれた、かつおのタタキ、まぐろの握り、どろめと呼ばれるいわしの稚魚の生しらす(3つで1500円也)を買って帰り、高知に入ってやたら目に付いた「宝酒造 馬路村ゆずチューハイ」でホテルの部屋で一人飲み。

今日の走行距離179㎞。ここまでの合計は331㎞だ。たかがシコイチ1000㎞の約1/3を走ったに過ぎない。幸い、まだアイツ(台風イチマル号)はノロノロと太平洋上に浮かんでやがる。しかし確実にその歩みを日本に向けて進めているのだった。

明日まではひとまず先に進めそうだが、明後日にはアイツも目の前に迫ってくるだろう。そろそろ警戒モードで行かないといけない。ここが頭の使いどころ…。とにかく行けるところまでいくしかない。というか台風来てんのになんでこんなに晴れてんのか…ちょっとくらい曇って欲しい

(つづく)

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