【ヤジキタ最終章・2023日光&奥州道中編】②大田原宿〜鉢石宿

晴れてるのに、何故か下り坂…

全国の旧街道サイクリングファンの皆様こんにちは! フナズシマルです。

ヤジキタ最終章・2023日光&奥州道中編の二日目がスタート。

初日のブログはこちら↓

7時の朝食時間にピッタリ合わせて食堂にいくと、いつもなら早く来てそうなY工場長がまだ来てない。今日は一気に宇都宮まで行って、さらにそこから日光道中へと入る予定。日光で観光することも考えると、できるだけ早め早めに行動したいところです。

(朝からのんびりしてるなあ…Yさん。久々やし疲れたんやろか…!?)

パインズ温泉ホテル大田原の朝食はバイクングではなく定食タイプではありましたが、なかなかのボリューム。それを食べ終わった頃にY工場長が登場。

「僕食べ終わったんで先に用意してきますね。ゆっくり食べといてください」

どことなくいつもよりも眠そうな顔のY工場長にそう言い残し、一人部屋に戻りました。

予定の時間には二人揃って準備も終え、再び自転車にまたがりホテルをあとにしました。

宇都宮までは約45km。午前中には着いて、お昼は待望の宇都宮餃子ランチにしたいところです。昨晩の大衆居酒屋で宇都宮餃子のオススメのお店を聞いたところ「宇都宮みんみん」が良いとのこと。こういう情報は地元の人に聞くのが一番。

走り始めると、昨日もいくつか見かけた石造の蔵が街道沿いに続きます。

これも大衆居酒屋で教えてもらったのですが、どうやらこれは「大谷石(おおやいし)」と呼ぶらしい。その大谷石の採掘場はあちこちにあるそうなのですが、見学できるのが宇都宮から日光方面へ少し進んだとこらへんにあるみたいです。

「Yさん、大谷石の採掘場、興味ありません? 見に行きたいなあ」と私。

「おお、そうだなあ、ワシもちょっと興味あるわあ」

さっそくスマホで調べたら「大谷資料館」って施設が宇都宮から7kmほど進んだところにあるようです。ということで日光東照宮は明日にまわして、今日の予定を変更! 

ま、こんなその日の気分とひらめきで旅するのが楽しいもんです。

「ワシ、ちょっとそこのコンビニ行ってええか…」

スタートしてまだ2kmも走ってないうちからなんだか妙にしおらしくY工場長が聞いてきました。どうやら朝からお腹の調子が良くないようです。

しばらくしてコンビニから出てきたY工場長。

「ちょっと昨日の晩の餃子がアカンかったんちゃうかなあ…。ワシ、餃子食って一口目で吹き出したん初めてだったわ」

たしかに、昨晩の中華屋で食べた餃子、ニンニクが咽せるくらいにたっぷり。ほぼニンニクの味しかしないというか…。美味しいとは思わなかったものの、食べられないというほどでもなく。現に私はまったく大丈夫だし。

「たぶん昨日の餃子の刺激が強すぎたんちゃいます? まあ大丈夫でしょ。」

と、下痢なんて出しゃ治るくらいで考えて再びスタートしました。

佐久山宿〜喜連川宿

この日の最初の宿場町は「佐久山宿」。

箒川(ほうきがわ)を渡った先を直角に曲がると、やや登っていく感じになっています。どこの街道でも昔は川に橋が架けられていることは少なかったようで、たいてい「川渡し」の手を借りて渡っていました。旅人もそこで足止めを食うので、結果的にそのあたりが人の滞留を生んで街になっているようです。きっとここもそうでしょうね。特に何かあるという場所でもない感じですが、曲がった先から昭和の雰囲気が漂い、ここが古くからある街であることはわかります。夏には60回の歴史を数える花火大会があるようで、大田原市の夏の風物詩にもなっているようです。

次の宿場町となる「喜連川宿」までは少し距離が開きます。

この奥州道中、白河からだとほぼフラット&下り基調ではあるのですが、途中にちょっとした丘陵地帯を越えるところがいくつかあります。この区間にもその丘陵地が広がっているのです。

たんたんと走って「喜連川宿」に。

喜連川宿の通りの様子

1つ前の佐久山宿と似た感じの昭和チックな街。

Y工場長はというと、宿場町ごとにトイレを探してはマーキング。縄張り作りが忙しいようです。こりゃ本格的に体調が良くないご様子。

街の駅本陣

ここには「街の駅本陣」というまちおこしの施設がありました。名水と表示された井戸もあったので喉を潤します。足利氏の縁の土地のようで、近くには城跡もあり観光協会の建物もありました。ちょっと興味が湧いてゆっくり見てみたくなったものの、Y工場長の様子を見ると進めるうちに進んだ方が良さそうです。なにせ、行こうかと思うと「ちょっと待って、トイレ…」という感じで。

喜連川を後にしてしばらくいくと再び丘が現れました。

奥州街道(古道)

ここには舗装路の脇に奥州街道の古道が残されており、史跡として案内板なども用意されていたのですが、入り口を見落とし峠の上まで来てからようやく発見しました。

ややキツイ目の坂ではありますが短いので苦になるほどではないはずなのですが、やはりY工場長、調子悪そうです…。

氏家宿〜白澤宿

氏家宿。現在の栃木県さくら市の中心地となっている宿場町です。鬼怒川水運の主要な集積地として発展した街で、奥州道中の他、いくつかの脇街道が交差しており人が集まる場所として現在も地方都市の様相を呈しています。

滋賀県の草津もそうですが街道の交差する場所は今もそれなりに発展している街が多く、川や山といった地形の影響による人や物の流れは大きくは変わらないんだと感じます。もちろんその一方で大きな道路が離れたところに開通して寂れていく街道も多くあるのですが、そういった場所であっても人の行き交いを生み出す地理的なポテンシャルは失っていないだろうと感じます。自転車やウォーキングでのツーリズムは、そういったところにもう一度光を当てる作業なのかもしれません。

今回の奥州道中も街道沿いにはとても立派なお家が多くありましたが、氏家宿には一際立派な住宅がありました。紡績で財を成した瀧澤家の住宅で、明治天皇も行幸したという由緒あるお家です。建物の外側は無料で見学できたので少し立ち寄ってみました。見学者用に最近できたばかりとみえるトイレも。すかさず籠るY工場長。もう本当に宿場町ごとにマーキングされています。

少し長めに休憩して、落ち着いたところで次の街へ。

鬼怒川を橋で渡ると堤防から少し降りたところに当時の渡し跡の案内板が残っていました。次の宿場町は「白澤宿」です。

白澤宿に入ると、鬼怒川の支流らしき小さな川が現れました。これが実に透明度が高く、流れの中で水草が揺らめいて涼しげです。

ふと見るとその流れの側に酒蔵が!

こうなると入らないわけにはいきません。ちょうど日が高くなって暑い最中だったこともあり、ちょっと立ち寄ってみることに。そこで2本ほどチョイスしてクール宅急便で送ってもらうことにしました。あとで自宅に着いたのを頂きましたが、私の目に狂いはなかったです!

白澤宿の通りには水車が回る

白澤宿のメイン通りにはこの流れを利用した水車が通りに沿って設置されていて、幾分街道風情を感じさせる街でした。まあでも今回の奥州道中、いかにもというスポットは少ない感じ。

ここまで来るといよいよ宇都宮まで目と鼻の先です。ちょうどお昼前。本場宇都宮餃子ランチが待っています!

宇都宮で餃子ランチ!?

「宇都宮宿」。

でかい街です。そりゃ栃木県の県庁所在地ですからね。どんな地方の県でも県庁所在地といえばこのくらいの都会だったりするもんです。その点、我が滋賀県大津市のひっそり感はかなり特殊なのだと思います。

あまりの暑さにへたり込むY工場長

宇都宮からは日光方面へ行こうということで、ひとまずは分岐点へ到着。Y工場長、結構グロッキーな感じになっておられます。この日はまあまあ暑かった…。って余裕で34度超えてますからね。

先へ進む前に昼飯でもと、せっかくだから昨日の居酒屋で聞いた店にでもと思ったものの、「ここでええやろ。このラーメン屋にしよ」とおっしゃるY工場長。

ふと見ると、よくある国道筋によくあるチェーン店タイプのお店。

えー、せっかく宇都宮なのに専門店に行かんのかい?と思ってたら、

「餃子もあるやろ。腹減ったしここ入るぞ!」

って、お店を探す気なんてさらさらない様子。

まあここまでほぼ全ての宿場町で垂れ流してきたんだから、お腹の中もスッカスカだったのでしょう。ま、それなりにラーメンも餃子も美味かったのでええか…。

ということで、午後は日光へ向けてスタートしました。

大谷資料館

午後は日光のホテルまで35km程度を走るだけ。時間的には余裕もあります。

Y工場長の体調は心配だけど、あれだけ普通にこってりしたラーメンと餃子食べられるんだから大丈夫なはず。

日光道中には杉並木が続く

日光道中は道路脇に杉並木が続き、ここが日光へと続く道なのだということを教えてくれます。

どうやら昨日の居酒屋で教えてもらった大谷資料館はこの近くにある模様。そこへは杉並木から西側へとコースを外れて向かうようです。

採石場近くにあった工場らしき施設

少し山がちな風景に変わる中、石材工場らしき施設がありました。先日からあちこちで見かけた大谷石がたくさん積まれています。目指す場所は近づいてきたようです。

さらに進むと、山そのものが大谷石の塊のような奇岩ばかりの風景が広がりました。

「おお、ここが大谷石の大元か…」と二人で思わず感動!

この先にある施設が楽しみです。

ついに辿り着きました。街道旅のつもりがどういうわけか大谷石を追いかける旅へと変化。ここは大谷石の採掘場の跡地に造られた「大谷資料館」という施設です。

山そのものをくり抜いてできた大きな洞窟の中へと入ることができます。資料館の入り口近くに来ただけでも穴の奥から流れてくる空気がすでに冷たくて涼しい! 暑さを凌ぐ場所としてもピッタリです。

中へと入ると、最初は細い階段を降りることに。石切作業の様子がわかる展示などもされています。そしてその先へ進むと…

まさに古代エジプトの神殿か何かに入ったかのような石造りの巨大な部屋が現れました。正確にいうと(石造り)ではなく、石を切った後にできた穴なのでこれは山に掘られた人口の洞窟なのです。

こんなにもスケール感のある石の史跡って日本で他にあるのでしょうか? これで入場料大人800円は安いですね。

Y工場長にも気に入っていただけた様子。

館内の気温は15度くらいだったのではないでしょうか? クラクラするくらい暑い中を自転車漕いで来たので、ここは本当にオアシスのような場所でした。

ちなみに大谷石とは宇都宮市大谷町周辺で採れる「流紋岩質角礫凝灰岩」の総称で、柔らかく加工がしやすいため古くからこの地域を中心に蔵などに使われてきた石材です。採掘場跡の広さは2万平方メートル、深さは30メートルにもなり、これを当時は手作業で掘り進んだということです。滋賀県の西野水道も規模は小さいものの手で山一つ掘り抜いていましたし、昔の人のやることって、機械化された今の時代よりも人のスケールがでかいですなあ…。

大谷資料館

〒321-0345 栃木県宇都宮市大谷町909  TEL. 028-652-1232

大人:800円
子供:400円(小・中学生)

WEBサイト http://www.oya909.co.jp/

いざ日光道中のゴール・鉢石宿へ!

さて、かなりゆったりと見学もできたし、大谷石のことも知ることができたので改めて日光道中のゴールとなる「鉢石宿(はついししゅく)」へと自転車を漕ぎ出します。

ここでまた…、今日数軒めのドラッグストア。

ちょっと可哀想になってきました。しばし休憩です。

地元草津市に工場のあるパインアメの炭酸飲料が自販機に売られていました。いつもツアーなどでパインアメを補給食がわりに持っていくのですが、今年は阪神の岡田監督がよく食べていたことからバカ売れしたそうですね。ツアーでも受けが良かったです。って、どうでも良い話ですが…。

とまあ、なんとか日光(鉢石宿)に着きました。

ホテルは東武日光駅のすぐ近くにある「ホテルファミテック日光駅前」というカプセルタイプの宿です。外国人が結構たくさん泊まっていましたね。

ここで元職場の後輩F君が合流。

実はF君、当初は自転車をレンタルして宇都宮から日光まで同行する予定だったのですが、この暑さの中走る自信がない、というかそんなアホなことをわざわざリスクとってやりたくなかったのでしょうね…。今回は電車で来てくれました。彼は今東京に住んではいるものの、ここまで来てくれただけでも嬉しいことです。

夜はF君ご推薦のとっても美味しい居酒屋さんで、久々の懐かしい話に花を咲かせつつ過ごしました。

いつものごとく大いに飲み明かしましたが、果たして明日はY工場長の体調は戻っているのか?

【続く】

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